マンション

マンションは遺産分割協議でトラブルになりやすい財産なので、生きているうちにマンションを譲っておくことで将来起こりうる争いを防げます。

しかしマンションの生前贈与は、一概におすすめと言い切ることはできません。

なぜならマンションの生前贈与にかかるお金をしっかり把握しておかないと、思ってもみなかった高額な税金がかかってしまうリスクがあるからです。

だれしも、なるべく税金は払いたくありませんよね。

キャラ

この記事では、「マンションを生前贈与する際にかかる税金」から「贈与税の非課税枠がある相続時精算課税」について解説していきます。きちんと把握したうえでマンションを贈与するかどうか決めてください。

生前贈与とは

生前贈与とは、贈与者(あげる人)が受贈者(もらう人)に無償で財産を譲ることをいいます。

一般的には親から子へ、祖父母から孫へ贈与されることが多く、相続税対策のためにおこなわれますが、贈与税がかかるため注意が必要です。

マンションの生前贈与でかかる税金

マンション

生前贈与は一般的には資産を減らし、相続が発生した際の節税を目的におこなわれますが、マンションを贈与するときにも税金がかかります。

マンションの贈与で課税される税金は「贈与税」と「登録免許税」、「不動産取得税」です。

マンションを生前贈与する場合にはこの3つの税金に注意し、税金がかかってしまったとしても、生前贈与するべきかどうか検討する必要があります。

財産を譲渡するときにかかる贈与税

贈与税とは、贈与者から受贈者に財産を譲渡するときにかかる税金です。

まずその年の1月1日から12月31日まで間に、贈与によりもらった財産の価額を合計し、その合計額から基礎控除額110万円を差し引き、残った金額に税率を乗じます。

この基礎控除を用いた贈与税の計算方法を、歴年課税といいます。

「一般税率」と「特例税率」

贈与税率には一般税率と特例税率があり、贈与者と受贈者の関係性によって、どちらの税率を用いるのか決まります。

一般税率を使うケースは兄弟や夫婦での取引や、親から子への贈与で子が未成年者の場合などがあります。

特例税率は、直系尊属である親や祖父母から20歳以上の子・孫への贈与の際に使用されます。

それぞれの贈与税率は、以下のとおりです。

基礎控除後の課税価格 一般税率(控除額) 特例税率(控除額)
200万円以下  10%(—)  10%(—)
300万円以下 15%(10万円) 15%(10万円)
400万円以下 20%(25万円) 15%(10万円)
600万円以下 30%(65万円) 20%(30万円)
1,000万円以下  40%(125万円) 30%(90万円)

この表を使って、親から20歳以上の子へ500万円贈与した場合を考えてみましょう。

まず基礎控除後の課税価格は、「500万円-110万円」で390万円です。

このケースでは特例税率を使って贈与税の計算をするので、贈与税を求める計算式は「390万円×15%-10万円」となり、48.5万円の贈与税がかかるということになります。

相続税の計算はややこしいと思われがちですが、どちらの税率を使用すればいいのかさえわかれば、だれでも簡単に計算することができます。

住宅の名義変更でかかる登録免許税

登録免許税とは、マンションの名義を贈与者から受贈者に変更する際にかかる税金で、「固定資産税評価額の2%」を納めなければなりません。

たとえば固定資産税評価額が2,000万円だった場合「2,000万円×2%」で、登録免許税は40万円となります。

いきなり支払うには結構な額になりますので、名義変更には高額な登録免許税がかかることを、あらかじめ頭にいれておきましょう。

マンションを取得したときにかかる不動産取得税

不動産所得税とはマンションを取得したときにかかる税金で、生前贈与によって取得した場合も支払う必要があります。

不動産取得税は「固定資産税評価額の3%」となっており、マンションが所在する都道府県に納めます。

贈与税を相続時精算課税で節税する

電卓

生前贈与でかかる税金を節約するためには、相続時精算課税というマンションの贈与税を大幅に軽減する制度を利用する方法があります。

相続時精算課税制度の利用にはいくつか注意点がありますので、相続時精算課税制度とはどのような制度なのかと合わせて解説していきます。

相続時精算課税とは

相続時精算課税とは、65歳以上の親から20歳以上の子への贈与について贈与税を大幅に軽減し、贈与をおこないやすくした制度です。

相続時精算課税を利用することで贈与者はマンションを好きな人に譲渡できるので、相続時にマンションをどうするのかと、遺産分割協議で揉めるリスクをなくすことができます。

相続時精算課税は合計2,500万円までの贈与について非課税としており、2,500万円を超えた部分には一律20%の税率で課税されます。

ただし名前にもあるとおり、相続時精算課税を使って贈与したマンションは、相続発生時に相続税の課税対象として贈与者の財産に戻して精算されます。

つまり結果的に後から税金がかかることになりますので、相続税対策にはならないということです。

相続時精算課税の注意点

相続時精算課税は一見すると、高額な贈与税がかかることなくマンションの贈与ができて良さそうに感じるかもしれませんが、目先のメリットだけで決めてはいけません。

せっかく生前贈与したにもかかわらず実際のところあまり得策ではなかった、ということにならないためにも、きちんと将来を見据えて選択する必要があります。

小規模宅地等の特例を受けられなくなる

小規模宅地等の特例とは、マンションの土地評価を8割削減できる制度です。

この制度を使うことでマンションの評価を2割にして相続財産に算入することができ、相続税を大幅に減らせる利点があるのですが、相続時精算課税とは合わせて利用することができません。

相続時精算課税を選択する前に、小規模宅地等の特例が使えなくなっても問題はないかどうか、しっかりと見極めましょう。

相続税対策にはならない

相続時精算課税は、贈与時には非課税枠を設けて税金を軽減していますが、相続が発生したときに相続時精算課税を利用して贈与したマンションは、贈与者の財産に戻して相続税を計算しなければなりません。

そのため納税を先送りにしているにすぎず、相続税対策にはならないのです。

歴年課税制度に戻せない

相続時精算課税を選択した場合、途中で取りやめることはできないので、一度この方法を選ぶと歴年課税制度を利用することができなくなります。

歴年課税制度を使った相続税対策なども、一切おこなえなくなるので注意が必要です。

相続時精算課税はどんなときに選択するの?

相続時精算課税を利用すれば、本来かかるはずの高額な贈与税を支払わずにマンションを贈与することができます。

しかしこの制度を利用した場合、贈与したマンションは相続税の課税対象として贈与者の財産に戻して計算されてしまいます。

そのため相続税の心配をしている人にとっては、この制度を利用してマンションを贈与してもあまりメリットがありません。

反対に相続税がかかる心配がない場合には贈与税も相続税もかかることなく、早い段階でマンションを譲渡できるというメリットがあります。

相続時精算課税は、相続税がかかる心配がない場合に選択するのがベターです。

「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度」を利用する

「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度」

「住宅購入資金の贈与を受けた場合の非課税制度」とは、平成27年1月1日から平成33年12月31日までの間で、父母や祖父母などの直系尊属からマンションを購入するための資金が贈与された場合に、贈与税が非課税となる特例のことです。

まとまった金額が非課税となるため、とてもメリットのある制度といえます。

ただし非課税の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、税務署に申告する必要があるので注意してください。

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|贈与税|国税庁

管理人からの一言「マンションの生前贈与は慎重におこなう」

通常なら生前贈与をして贈与者の財産を減らせば、そのぶん節税になるはずなのですが、生前贈与するのがマンションの場合には必ずしも税負担が減っているとは限りません。

どうせ相続することになるのだから、と安易に贈与をおこなうのは危険ということです。

ただしマンションは遺産分割協議でトラブルになりやすい財産なので、生きているうちにマンションを譲っておくことで争いを避けることができるメリットもあります。

生前贈与にかかる3つの税金や相続時精算課税などをきちんと理解したうえで、生前贈与するべきかどうか検討することが大切です。

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