不動産売却時にかかる費用の中で最も高額なのが、仲介手数料です。
- どうやって計算するの?
- 支払うタイミングはいつ?
- 安くしてもらうことはできないの?
- どうして無料や半額にしている会社があるの?
このような疑問を抱いている人も、多いのではないでしょうか。
この記事では、「仲介手数料の計算方法と早見表」から「値引き交渉は損か得か」について解説していきます。
不動産売却にかかる仲介手数料の相場はいくら?計算方法は?
不動産売却にかかる仲介手数料は、宅地建物取引業法によって売買価格に応じた上限金額が定められています。
売買価格に応じた上限金額は、以下のとおり。
売買価格 | 上限額 |
---|---|
200万円以下 | 売買価格の5% |
200万円超 400万円以下 | 売買価格の4%+2万円 |
400万円超 | 売買価格の3%+6万円 |
上記はあくまで上限金額ではありますが、「上限金額 = 実際に請求される仲介手数料」になるケースがほとんどです。
計算式だけでは分かりづらいと思いますので、以下の売買価格別の仲介手数料を参考にしてください。
早見表|売買価格別の仲介手数料
売買価格(税抜) | 上限額(消費税8%の場合) | 上限額(消費税10%の場合) |
---|---|---|
1,000万円 | 388,800円 | 396,000円 |
2,000万円 | 712,800円 | 726,000円 |
3,000万円 | 1,036,800円 | 1,056,000円 |
4,000万円 | 1,360,800円 | 1,386,000円 |
5,000万円 | 1,684,800円 | 1,716,000円 | 6,000万円 | 2,008,800円 | 2,046,000円 | 7,000万円 | 2,332,800円 | 2,376,000円 | 8,000万円 | 2,656,800円 | 2,706,000円 | 9,000万円 | 2,980,800円 | 3,036,000円 | 1億円 | 3,304,800円 | 3,366,000円 |
仲介手数料には消費税がかかりますので、8%の場合と増税後の10%の場合の2パターン記載しています。
不動産仲介手数料には消費税がかかる
仲介手数料に消費税が課税される理由については、国税庁のホームページに記載されている下記の記述を参考にしてください。
消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等及び外国貨物の引取りです。
引用元: 課税の対象|消費税|国税庁
不動産会社がおこなう仲介業務は、「事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡」に該当するため、消費税が課税されるということです。
計算を間違える不動産会社がいる
ごく稀に、仲介手数料にかかる消費税の取り扱いが間違っている不動産会社があるので注意してください。
実際にあった事例が、税抜の金額を当てはめるべき売買価格を税込で計算され、仲介手数料を多く請求されたケースです。
どういうことなのか、1,000万円のマンションを売買取引したと仮定し、本来の計算式と間違った計算式をそれぞれ紹介します。
正しい計算式(売買価格は税抜で当てはめる)
間違った計算式(売買価格を税込で当てはめる)
物件価格が1,000万円の場合、計算を間違えられると25,920円も損をするということが分かります。
単純にルールを勘違いしている不動産会社もいますが、故意におこなっている場合もあります。
どちらにせよ売主にとって不利益となりますので、仲介手数料が正当な金額かどうか必ず確認してください。
不動産売却時の消費税のルールについて詳しく知りたい人は、下記の記事も合わせてご覧ください。
マンション売却で消費税がかかる場合・かからない場合を徹底解説!
マンション売却で消費税がかかるのはどんなケースでしょうか。個人・法人それぞれのケースで解説しています。課税事業者の該当条件、土地と建物を按分して消費税を割り出す計算方法についても紹介していますので、参考にしてください。
そもそも何のお金?どんな費用が含まれているの?
不動産会社は、物件を売却するために様々な活動をおこないます。
その売却活動にかかる費用として請求されるのが、仲介手数料です。
仲介手数料に含まれる費用は、以下のとおり。
- 広告費(チラシの作成など)
- 営業マンの人件費(相談、見積もり、売買手続きなど)
- 買主の現地案内(内覧)にかかる費用
- 手続きにかかる各種手数料(抵当権移転登記など)
売買手続きにかかる費用はすべて仲介手数料に含まれているため、追加料金を請求されることはありません。
ただし通常の売却活動の範囲を超えた特別な依頼をした時などは例外で、上乗せして請求されます。
追加料金が請求されるケースもある
売主が通常の売却活動以上の働きを不動産会社に求める場合には、仲介手数料に上乗せして追加料金が発生します。
例えば、以下のようなケースです。
かかる費用 | |
---|---|
遠方にある物件の売却 | 現地までの交通費など |
物件の宣伝活動を強化(売主が希望した場合のみ) | 強化した分のチラシ代など |
仲介手数料以外で請求される費用は実費のみで、必ず不動産会社から事前に告知があります。
誰が払うの?【売主or買主】
仲介手数料は売主と買主のどちらか一方ではなく、双方がそれぞれ不動産会社に支払うのが一般的です。
これは一つの不動産会社が売主と買主の双方を担当する両手取引の場合も、それぞれ違う不動産会社が担当する片手取引の場合も変わりません。
不動産を売却するにあたって、仲介手数料は必ずかかるということです。
とはいえ、最近は仲介手数料を割引する不動産会社もあります。
どのような仕組みになっているのか、また注意すべき点について解説していきます。
無料や半額にしている不動産会社のからくり
顧客に選んでもらうために、最近は仲介手数料を無料や半額にしている不動産会社もあります。
安い方がよいからといって飛びついてしまう人もいますが、そのからくりは両手取引です。
無料や半額のからくり
不動産会社もボランティアではないため、他に収入源がなければ無料にできるはずがありません。
しかし売主と買主の双方から仲介手数料を受け取れる、つまり2倍の報酬をもらえる両手取引であれば、割引しても利益を残すことができます。
囲い込みのリスクが高くなる
両手取引自体が悪いわけではありませんが、最初から仲介手数料の無料や半額を打ち出しているということは、両手取引を前提としていなければ成り立ちません。
つまり自社で買主を見つけるために、囲い込みをおこなう不動産会社である可能性が高いということです。
自社で買主を見つけるために、他社に物件情報を公開しないこと。
他社を通して買主が現れたとしても、何らかの理由をつけて断られてしまう。
囲い込みをされてしまうと売却チャンスが著しく奪われてしまうため、物件価格が下がってしまったり、売却に時間がかかってしまうなどのデメリットがあります。
ごく稀に企業努力によって割引している会社もありますが、できるだけ囲い込みの被害に遭うリスクを減らすためには、無料や半額を売りにしている不動産会社は避けた方がよいでしょう。
不動産売買で仲介手数料を値引き交渉すると損をする理由
「仲介手数料を無料や半額にしている不動産会社を避けた方がよいのは分かったけど、値引き交渉するのはあり?」と思われている人もいるのではないでしょうか。
仲介手数料の値引きは、一見するとお得な感じがしますが、結果的には損をする可能性が高い行為です。
不動産業界は成功報酬のため、不動産会社がどれだけ頑張って売却活動をおこなっても、売れなければ金銭のやり取りは発生しませんよね。
そのうえで不動産会社は物件を売るために、買主探しから書類の作成、リスク管理、内覧会の立会いなどをおこなってくれます。
にもかかわらず、売主から仲介手数料を値引きされたら、やる気が下がってしまうのは当然です。
赤字にならないように売却活動を制限されたり、そもそも真剣に取り組んでもらえなくなるかもしれません。
値引き交渉することで起こりうるデメリット
- 売却活動の範囲を制限されてしまう
- 他の物件を優先され、後回しにされてしまう
- 早く売買取引がまとまるように値下げを強要される
仲介手数料は安ければいいというものではありませんので、安易に値引き交渉するのはやめましょう。
割引してもらうより高く売却してもらった方がメリットは大きい
物件の売却価格が安くなり、割引してもらった分またはそれ以上、損をすることに。
仲介手数料は値引きせず、高いモチベーションを持って売却活動をおこなってもらうことで、割引してもらう以上のメリットを得られるでしょう。
仲介手数料を支払うタイミングは売買契約時と決済時
仲介手数料は成功報酬(媒介報酬)のため、実際に支払うのは物件の売却が決まってからになります。
具体的なタイミングは売買契約時と決済時で、半額ずつ2回に分けて支払うのが一般的です。
売買締結時 | 仲介手数料の50% |
---|---|
物件引渡し時 | 仲介手数料の50% |
ただし2回に分けることは法律で決められている訳ではないため、不動産会社によっては売買締結時に一括または物件引渡し時に一括など、異なる方法を指定されるケースもあります。
支払い方法は現金?振り込み?
仲介手数料の支払いは、現金でおこなうケースがほとんどです。
とはいえ、高額な仲介手数料を現金で持ち運ぶことに不安を感じる人もいると思います。
振り込みやクレジットカード払い、分割払いなど、その他の支払い方法で対応してもらえる場合もありますので、事前に確認しておきましょう。
不動産売却における仲介手数料に関する疑問を解消
仲介手数料についての、よくある疑問に回答していきますので参考にしてください。
仲介手数料の計算式にある「+6万円」って何?
仲介手数料の計算式「売買価格×3%+6万円」は速算式で、実際には売買価格に応じて段階的に決められています。
売買価格200万円以下 | 売買価格の5% |
---|---|
売買価格200万円超 400万円以下 | 売買価格の4% |
400万円超 | 売買価格の3% |
売買価格400万円以下にかかる3%を超える部分の仲介手数料が「+6万円」の正体ということです。
少しわかりづらいと思いますので、具体例を用いて解説していきます。
売買価格が1,000万円の場合の仲介手数料
売買価格1,000万円にかかる仲介手数料の上限額を分解して計算すると、以下のようになります。
a) 200万円までの部分
200万円 × 5% = 10万円
b) 200万円超 400万円までの部分
200万円 × 4% = 8万円
c) 400万円超 1,000万円までの部分
600万円 × 3% = 18万円a + b + c = 36万円
※この額に消費税を上乗せした金額が仲介手数料の上限額になります引用元: 公益社団法人 全日本不動産協会
36万円のうち、3%を超える部分は「①+②+③=6万円」。
よって400万円以下の部分をそれぞれ分けて計算しなくても「売買価格×3%+6万円」という速算式で、一発で仲介手数料を算出できます。
手付け解除になった場合、仲介手数料は返ってくる?
売買契約締結後、何らかの理由で手付け解除になってしまった場合、仲介手数料は返ってこないと思っておいた方がよいでしょう。
手付け解除とは、売買契約時に買主から売主に支払われる手付金を用いて、契約を解除することをいいます。
買主都合であれば手付け放棄、売主都合であれば手付倍返しとなるのですが、この場合、不動産会社に落ち度はありません。
そのため、支払った仲介手数料は返却されないのが一般的です。
マンション売買契約をキャンセルする方法【契約解除時の仲介手数料について】
マンション売却時、どうしても不動産売買契約を解除せざるを得ない状況になることがあるかもしれません。履行の着手前の手付解除や、違約金の額の相場、不動産契約解除による仲介手数料の取り扱いについて紹介していますので参考にしてください。
ローン特約による契約解除の場合、仲介手数料は返ってくる?
ローン特約によって契約が白紙となった場合、仲介手数料は返却されます。
手付け解除とは異なり、売主と買主に落ち度があった訳ではないからです。
管理人からの一言「仲介手数料は値引きせずに支払うのがベター」
不動産業界において仲介手数料は上限額で取引するのが通例となっており、値下げには多くのデメリットがあります。
不動産売却を成功させるために、必要なお金だと割り切りましょう。
また売買価格が高ければ仲介手数料も高くなりますが、手元に残るお金は多くなるのですから、できるだけ高値売却を目指すことも大切です。
イエウールで一括査定したら310万も高くなった
管理人がイエウールで自宅マンションを一括査定したところ、街の不動産会社より310万円も高い査定価格をだしてもらえました。
イエウールはクレームに厳しい会社なので、不動産業者からしつこい営業電話がかかってくることはありません。
物件情報を入力するだけの簡単手続きで、すぐに売却相場が分かる手軽さも好評です。