マンションや一戸建てなどの不動産は、換金性の低さや分割が困難であることから、相続争いの火種になりやすいという現実があります。
片親がまだ存命である場合にはトラブルになりづらいのですが、親の世代が2人とも亡くなり、相続人が子供たちだけになった際に、争いに発展してしまうケースが少なくありません。
この記事では、「相続したマンションをどう分ければいいのか」について紹介していきますので参考にしてください。
マンションの相続は兄弟間で争いになりやすい
マンションの遺産分割は、兄弟間で争いになりやすい傾向にあります。
現金や株式、あるいは車や家財などの換金性の高い資産はきれいに分けることができますが、マンションなどの不動産は分けるのが難しいからです。
兄弟の誰かが相続資産であるマンションに同居しており、今後も「住み続けたい」と希望する場合、さらに分けるのは困難になります。
また兄弟同士の仲が良かったとしても、その配偶者が遺産相続に口を挟んでくる場合も少なくありません。
相続争いに発展してしまうのは不本意だと思いますので、円満に遺産分割協議が進められるよう、マンションの分け方についてしっかりと確認しておきましょう。
マンションの法定相続人を確認する
相続したマンションを分けるために、まずは法定相続人を確認する必要があります。
法定相続人とは、被相続人(亡くなった人)の財産を相続する権利が認められている人のことで、法定相続人になれる人は法律で決められています。
まず、被相続人(亡くなった人)の配偶者は、必ず法定相続人になります。
被相続人の子、父母、兄弟・姉妹には、相続人になれる優先順位が決められており、その順位は以下のとおりです。
第1順位 | 子 |
---|---|
第2順位 | 直系尊属(父母や祖父母など) |
第3順位 | 兄弟・姉妹 |
もしも被相続人の子が既に亡くなっている場合には、その相続人の子や孫が代わりに相続人になれる「代襲相続」が認められています。
つまり第2順位の父母が法定相続人になるのは、被相続人の子、またはその代襲相続人である孫・ひ孫がいない場合ということです。
兄弟の法定相続分と遺留分の割合を確認する
法定相続人が明確にできたら、法定相続分と遺留分の割合について確認しておきましょう。
法定相続分は円満に遺産分割するために作られた民法
法定相続分とは相続人それぞれの取り分のことで、円満に遺産分割するために作られた民法です。
法定相続人の順位は上記で紹介したとおりになりますが、法定相続分は以下のようになります。
相続人 | 法定相続分 |
---|---|
配偶者と子 | 配偶者1/2 子(全員で)1/2 |
配偶者と直系尊属 | 配偶者2/3 直系尊属(全員で)1/3 |
配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者3/4 兄弟姉妹(全員で)1/4 |
遺留分の割合は保障されている
遺留分とは、相続人が最低限、相続できる財産のことです。
遺言書に相続の割合が書かれていた場合、法定相続分よりも遺言書が優先されます。
しかし遺留分については遺言書よりも優先され、被相続人の希望であっても減らすことはできません。
たとえ被相続人が遺言書に「配偶者には遺産を渡さない」という旨を書き残していたとしても、遺留分は相続する権利が残るということです。
法定相続人それぞれの遺留分の割合は、以下のとおりです。
相続人 | 遺留分 |
---|---|
配偶者のみ | 配偶者1/2 |
子のみ | 子1/2 |
直系尊属のみ | 直系尊属1/3 |
兄弟姉妹のみ | 遺留分なし |
配偶者と子 | 配偶者1/4 子(全員で)1/4 |
配偶者と直系尊属 | 配偶者1/3 直系尊属(全員で)1/6 |
配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者1/2 兄弟姉妹 なし |
相続したマンションを兄弟で遺産分割する方法
マンションを兄弟で遺産分割する方法は、以下の4つになります。
- マンションを売って現金化して分割する「換価分割」
- マンションをそのまま分ける「現物分割」
- マンションを所有する代わりに現金を払う「代償分割」
- マンションを共同所有する「共有分割」
最もおすすめの遺産分割の方法は、換価分割です。それぞれのメリットとデメリットを確認しておきましょう。
マンションの遺産分割は「換価分割」がおすすめ
マンションの遺産分割は、売却して金銭に換えて分ける「換価分割」がおすすめです。
換価分割なら平等に遺産分割でき、後からトラブルになりづらいという特徴があります。
マンションを売却したお金で分けることができるので、代償分割のように現金を用意する必要もありません。
親が遺したマンションを売却するのは気が引けるかもしれませんが、後に残すトラブルが少なく、最もきれいに問題を解決する方法です。
換価分割のメリット
- 公平に分割できる
- 現金を用意する必要がない
- 後にトラブルの可能性が残らない
換価分割のデメリット
- マンションが残らない
マンションを換価分割することを検討する場合、まずはマンションがいくらで売れるか確認する必要があります。
マンションがいくらで売れるかは、不動産一括査定サイトを利用すると簡単に調べることができるのでおすすめです。
不動産一括査定サイトについて詳しく知りたい人は、下記の記事も合わせてご覧ください。
不動産一括査定サイト大手12社を徹底比較!おすすめサイトから選び方まで解説
不動産一括査定サイトを利用すれば、物件がいくらで売却できるか効率的に調べられるだけでなく、質の良い不動産会社にも出会えます。できるだけ好条件で売るためには、サイト選びが重要。不動産のプロである管理人が、おすすめのサイトと選び方のポイントを解説していきます。
「現物分割」は自宅をそのまま分ける方法
現物分割とは、その名の通りマンションを現物で分けるという最も単純な遺産分割方法です。
相続人が兄弟2人の場合、マンションを土地と建物で分けたり、敷地を分割したりして相続します。
またどちらか一方がマンションを相続して、もう一方は何も相続しないというケースもあります。
しかしこの方法はどうしても不公平感が出てしまい、トラブルの原因になるのでおすすめできません。
現物分割のメリット
- わかりやすい
- マンションを現物でそのまま残せる
現物分割のデメリット
- 相続分のとおりに分けるのが難しい
「代償分割」は現金を用意する必要がある
代償分割とは、マンションを相続人のうち1人が相続し、マンションを相続した人が他の相続人に対して、法定相続分に相当する金額を現金で支払う方法です。
たとえば相続人が兄弟2人で、マンションの価値が3,000万円だった場合、マンションを相続した人は、もう一方の相続人に1,500万円を代償金として支払います。
こうすることによって、結果的にそれぞれ2,500万円の遺産を受け取ったことになります。
代償分割は、相続した家を残したい場合に最も有効な遺産分割方法です。
代償分割のメリット
- マンションを現物でそのまま残せる
- 公平に遺産分割できるのでトラブルになりにくい
代償分割のデメリット
- 他の相続人に相続分の代償として渡す現金を用意する必要がある
マンションを代償分割する場合、マンションの評価額を調べる必要があります。
マンションの評価額の調べ方については、下記の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
マンションの相続税評価額の調べ方と計算方法について徹底解説!
この記事では、マンションの相続税評価額の調べ方と計算方法について紹介しています。分譲マンションの固定資産税評価額を把握するためには、固定資産評価証明書と課税明細書の見方を知る必要があります。実勢価格についても解説していますので、参考にしてください。
「共有分割」はマンションを共同所有する方法
共有分割とは、マンションを相続人の共有名義にする方法です。
マンションの名義を相続人の連名にするだけなので、現物分割のような不平等感があったり、代償分割のように現金を用意したりする必要はありません。
ただしマンションを共有することには以下のデメリットがあるため、最終手段と考えたほうが良いでしょう。
- マンションを共有することのデメリット
-
- 共有者全員の承諾がなければ売却できなくなる
- 共有者が亡くなるとマンションが次の相続の対象になり、問題が複雑化する
- 住宅ローンや管理費なども共同で支払わなければならないので面倒
マンションの名義を共有にする場合、住宅ローンの支払いなども共同でおこなわなければなりません。
マンションを共有名義にしたにもかかわらず、住宅ローンなどの支払いを相続人の誰かが単独で負担する場合、贈与税がかかる可能性があるので注意してください。
共有分割のメリット
- 公平な分割ができる
- マンションを現物でそのまま残せる
共有分割のデメリット
- 利用や処分の自由度が低い
- 共有者が被相続人になると利害関係が複雑になる
管理人からの一言「遺産相続したマンションを兄弟でもめずに分ける方法は換価分割」
マンションの遺産相続で兄弟間でもめないためには、換価分割することをおすすめします。
ただし換価分割する場合、マンションの売却代金が重要になります。
誰しも、親が遺してくれたマンションは、できるだけ高く売却したいと思うはずです。
不動産一括査定サイトは査定額が簡単に分かるだけでなく、複数の不動産会社の見積もりを比較できるというメリットもあります。
複数の不動産会社の見積もりを比較することで、高い査定額を出してくれる不動産会社を見つけられるので、親が遺してくれたマンションを安く売却してしまうような失敗は起こりません。
イエウールで一括査定したら310万も高くなった
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