平成28年1月からマイナンバー制度が導入され、現在ではだいぶ浸透してきています。
とはいえ、提出する場面はまだまだ少ないため、提示を求められると、なんとなく躊躇する人も多いのではないでしょうか。
不動産売却をすると不動産会社からマイナンバーを提出するよう言われますが、「何に使われるの?」「提示を拒否することはできないの?」という疑問を抱くと思います。
この記事では、「マイナンバーの提示を求められるケース」から「拒否できるのかどうか」「提出するときの注意点」について紹介していきますので、参考にしてください。
不動産売却でマイナンバー制度が関係するケース
不動産売却したからといって、必ずしもマイナンバーを提出しなければいけないわけではありません。
個人から個人に売却する場合や、売主が法人の場合はマイナンバーを提示する必要はありません。
売主 | 買主 | マイナンバーの提出 |
---|---|---|
個人 | 法人または個人で不動産業を営んでいる人 | あり |
個人 | 個人 | なし |
法人 | 個人 | なし |
法人 | 法人 | なし |
個人から法人への売却であっても、売却金額が100万円を超えなければマイナンバーを提出する必要はありません。
ただし売却金額が100万円を下回るケースはほとんどないため、個人から法人へ売却した場合はマイナンバーの提出が必要と覚えておくと良いでしょう。
個人から法人へ売却するケースでよくあるのが、宅建業者に不動産を買い取ってもらう場合です。
宅建業者も法人ですので、マイナンバーの提出が求められます。
しかし今後どのような個人情報と結びつくか分からない、情報漏洩が不安という理由から「できるだけ提出したくない」という人もいると思います。
不動産を売却したときにマイナンバーの提示を拒否できるかについて、解説していきます。
不動産の売主・貸主のみなさまへ:内閣府番号制度担当室-内閣府
マイナンバーの提出を拒否することはできる?
不動産売却でマイナンバーカードの提出は、拒否できます。
マイナンバーカードの提出は任意であって、義務ではないからです。
マイナンバーを提示しなかったとしても、不動産を売ることはできますので安心してください。
ただし宅建業者も、理由なくマイナンバーの提示を求めているわけではありません。
宅建業者がマイナンバーの提示を求めるのは、税務署に支払調書を提出しなければならないからです。
もしも売主がマイナンバーカードの提出を拒否した場合、宅建業者は税務署に対してマイナンバーの提示を拒否された経緯を詳細に説明するという手間が増えます。
不動産売買でマイナンバーは不動産支払調書に使われる
マイナンバーを提出しなければならない理由は、宅建業者が税務署に提出する不動産支払調書に、売主の個人番号を記入するためです。
宅建業者がむやみに提出を要求しているわけではない、ということです。
何に使われるのかが分かれば、提出に対するためらいも、なくなるのではないでしょうか。
「個人番号でどこまで知られてしまうのか分からないから怖い」という人もいると思いますが、提出したからといって、宅建業者が売主の個人情報を得ることはできませんので安心してください。
支払調書に個人番号を記載する理由
税務署に提出する支払調書にマイナンバーを記載する理由は、国民の所得を国が把握し、税金逃れなどをなくすためです。
総務省のホームページに、マイナンバー制度は何のために作られたかについて記載されていましたので、参考にしてください。
国民の所得状況等が把握しやすくなり、税や社会保障の負担を不当に免れることや不正受給の防止、さらに本当に困っている方へのきめ細かな支援が可能になります。
不正を働いていなければ、マイナンバーの提示を求められたからといって必要以上に不安に感じることはありません。
ただしマイナンバーの提示を求められた際に注意すべきことがありますので、確認しておきましょう。
土地や家屋を売却してマイナンバーの提示を依頼されたときの注意点
個人が法人または不動産業を営んでいる人に不動産を売却する場合、マイナンバーの提示を求められるのは正当であり、スムーズに取引を進めるために提出するのがベターです。
ただしマイナンバーを提示する際、以下の点に注意しなければなりません。
- マイナンバーを提示するのは買主が法人の場合のみ
- 委託業者を名乗る詐欺師がいる
マイナンバーを提示するのは買主が法人の場合のみ
上述したとおり、マイナンバーの提示が必要なのは、売主が個人で、買主が法人または不動産業を営む人である場合のみです。
そもそも個人の買主からマイナンバーの提示を求められた場合、その売買取引自体、続行するのは危険かもしれません。
すぐに、不動産業者へ相談してください。
委託業者を名乗る詐欺師がいる
実際に、売買取引をした不動産会社ではなく、不動産会社が委託した業者からマイナンバーの提示を求められる場合もあります。
そのため委託業者からマイナンバーの提示を求められたからといって、すぐに詐欺と決めつけることはできません。
では、どうやって詐欺師から身を守るのかというと、委託業者からマイナンバーの提示を求められた際、取引相手である不動産会社に確認をします。
そうすれば不動産会社が委託した業者なのかどうか、すぐに分かります。
詐欺師はどこからか情報を得てそれらしいことを言い、売主の情報を引き出そうとしますので、十分に注意してください。
内閣府のホームページでも、マイナンバー関連の詐欺について以下のように注意喚起しています。
マイナンバーの通知や利用、個人番号カード(マイナンバーカード)の交付などの
手続で、
① 国の関係省庁や地方自治体などが、口座番号や口座の暗証番号、所得や資産の情
報、家族構成や年金・保険の情報などを聞いたり、お金やキャッシュカードを要
求したりすることは一切ありません。
② ATMの操作をお願いすることも一切ありません。
こうした内容の電話や手紙、訪問には応じないでください。
マイナンバーカードを持っていない場合どうすればいい?
マイナンバーカードを発行していない人も多いと思います。
マイナンバーカードを発行していない場合は、通知カードと合わせて本人確認書類を提出します。
通知カードは、マイナンバー制度が開始されたときに送付されたものです。
紙製で色は薄緑色、12桁のマイナンバー(個人番号)が書かれています。
もしも通知カードを紛失している場合は、再発行しておきましょう。
番号制度に係る税務署への申請書等の提出に当たってのお願い|国税庁
通知カードの再発行のやり方
通知カードを紛失した場合は、再発行の手続きをしてください。
個人番号が必要なのは不動産売買時だけではないため、紛失したままだと必ず困る場面が出てくるからです。
地方公共団体情報システム機構が運営するマイナンバーカード総合サイトに、通知カードを再発行する流れについて記載されていましたので、参考にしてください。
再発行のお手続きにつきましては、お住まいの市区町村窓口にて手続きを行いますが、お手続きには、警察署または交番にて発行される受理番号の控えが必要となります。受理番号の控えをお持ちいただき、お住まいの市区町村窓口にて通知カードの再発行の手続きをおとりください。
つまり、通知カードを紛失した旨を警察署に届け出て、受理番号を持って市役所にいけば再発行できるということです。
管理人からの一言「マイナンバーの取り扱いは慎重に」
個人の売主が法人の買主と不動産売買した場合、マイナンバーを提示しなければなりません。
マイナンバーを提示しないとスムーズに取引が進まないため、正当な理由であれば、提出するのがベターです。
ただし無知な売主を狙ったマイナンバー関連の詐欺もありますので、十分に気をつけましょう。