相続したマンションを売却する場合、被相続人から相続人に名義を変更する必要があります。
物件の名義人と売主が違う場合、所有権を買主に移転できないため、マンションを売却することができません。
相続したマンションを売却する場合、まずは被相続人から相続人に所有権を移し、その後に買主に所有権を渡します。
この記事では、「相続したマンションを名義変更する方法」から「名義変更にかかる費用と必要書類」について紹介していきます。
相続したマンションを名義変更する
マンションの名義人を被相続人から相続人に変更することを相続登記といい、相続登記のやり方は自分でおこなう方法と弁護士や司法書士に依頼する方法の2通りです。
相続によるマンションの名義変更は専門的で複雑な手続きが必要になりますので、素人が完璧に手続きをおこなうのは簡単ではありません。そのため司法書士に依頼する人がほとんどです。
自分で名義変更の手続きをする
マンションの名義に関する情報は法務局で管理されているため、自分で名義変更をおこなう場合は物件を管轄する法務局へいって手続きをおこなう必要があります。
自分で法務局へいって登記申請するまでの流れは、以下のとおりです。
相続人を確定するために戸籍を調べる
まずはマンションの相続人を確定するために、戸籍を追って相続人をすべて調べます。
相続人になる可能性があるのは、被相続人の配偶者と子、父母、兄弟・姉妹です。
配偶者は常に相続人となり、第一順位が子、子がいなければ第二順位の父母、父母もいなければ第三順位の兄弟・姉妹が相続人になります。
相続人 | |
---|---|
子がいる場合 | 配偶者と子 |
子がいない場合 | 配偶者と父母 |
子も父母もいない場合 | 配偶者と兄弟・姉妹 |
配偶者がいない場合の相続人は、子がいる場合には子、子がいない場合には父母、子も父母もいない場合には兄弟・姉妹となります。
相続人の間でどうやって相続するか決める
マンションを相続する権利を持っている人全員で遺産分割協議をおこない、マンションの名義を移す人を決めます。
マンションの名義を移す人を決める方法は、以下のとおりです。
- 相続人の間で話し合って一人に決める
- 話し合いがまとまらなければ持分通りに登記する
- 遺言書があれば遺言に従って名義を移す
相続したマンションを売却する場合は名義人を単独にしたほうが手続きはスムーズですが、話し合いがまとまらない場合や遺言書に従って名義を移す場合は、共有名義にすることも可能です。
遺産分割協議書という書面を作成する
遺産分割協議で取り決めた内容を「遺産分割協議書」という書面にして、相続人全員が署名捺印します。
書面が2枚以上になった場合は、割印をしてください。
相続人が一人でも抜けていると、登記は認められませんので注意が必要です。
法務局へ登記申請する
遺産分割協議書と、後述で紹介する必要書類を揃えて法務局へいき、登記申請書を作成して登記申請します。
登記申請書には、相続が発生した日にちや物件の課税価格、登録免許税、物件情報を記入します。
物件の課税価格には固定資産評価証明書に記載されている評価額を、登録免許税には「固定資産税評価額×0.4%」で計算した額を書いてください。
たとえば固定資産税評価額が3,000万円の場合、「3,000万円×0.4%=12万円」となります。
司法書士に依頼して名義変更する
司法書士に名義変更の手続きの代行を依頼すれば、費用はかかりますが、上述のような手間がかからないというメリットがあります。
相続したマンションを売却するために名義変更する場合は、マンションの決済時に名義変更と買主への所有権移転登記を同時におこないます。
マンションの名義変更は不動産に精通していないと非常にハードルが高く、素人が完璧におこなうのは難しいので、司法書士に任せるのがベターでしょう。
相続したマンションの名義変更でかかる費用
相続したマンションの名義変更でかかる費用は、以下のとおりです。
司法書士費用(自分でやる場合は不要) | 5〜10万 |
---|---|
登録免許税 | 固定資産税評価額×0.4% |
実費 | 戸籍謄本…1通450円 除籍・原戸籍…1通750円 住民票…1通300円 登記事項証明書…1通500円 |
固定資産税評価額が3,000万円のマンションを売却するときにかかる費用は、登録免許税が12万円、司法書士費用が5〜10万円、戸籍謄本などを発行する実費が数千円なので、だいたい17〜22万円です。
司法書士へ支払う費用が高額に感じるかもしれませんが、戸籍謄本の取得から書類の作成、登記申請まで全ておこなってもらえるので、相続人の手間を大幅に軽減できます。
相続したマンションには相続税もかかる
相続したマンションの名義変更でかかる費用は上記で紹介した通りですが、相続税がかかることも忘れてはいけません。
他に遺産があるかどうかや遺産分割協議で決まった内容によって相続税額は異なりますが、例外なく10ヶ月以内に支払うルールとなっています。
相続したマンションの売却がスムーズにおこなえるよう相続人の中から代表者を選んだ場合は、相続人全員で売買代金を按分することになりますので、相続税も相続人全員で負担します。
遺言によって相続人の中の一人がマンションを相続した場合は、売買代金を一人で受け取り、相続税も一人で負担しなければなりません。
相続が発生してから3年経過する前に売却すれば「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」が利用でき、譲渡所得税を減らすことができます。
相続してから物件を放置してしまう人も少なくありませんが、物件の劣化により売却できなくなったり、特例が利用できなくなったりするため、最低でも相続から3年が経過する前に遺産分割協議から売却まで終わらせるのが賢明です。
マンションを現金化してから他の相続人と按分することになっている場合は、売買代金から譲渡所得税と住民税を差し引いた金額を分割します。
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相続したマンションを売却するときも費用はかかる
マンションを売却するのには、一定の費用がかかることを頭に入れておきましょう。
マンション売却で最低限かかる費用は収入印紙代、登記費用、仲介手数料、家財の片付け費用です。
売却価格が3,000万円の場合にかかる売却費用は、だいたい100万円が目安になります。
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相続したマンションを名義変更するときの必要書類
相続したマンションの名義を自分で変更するときに必要な書類は、以下のとおりです。
- 被相続人の戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺産分割協議書
- 名義変更する人の住民票
- マンションの登記簿謄本
- 固定資産税通知書
- 相続登記申請書
司法書士に名義変更の手続きを依頼する場合は、司法書士が必要書類を揃えてくれるため、相続人が用意するものは以下の4つになります。
- 被相続人の戸籍謄本
- 固定資産税の通知書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 認印
相続したマンションを売却するときの注意点
相続したマンションを売却するときの注意点は、高値売却にこだわらないとトラブルになりかねないということです。
高値売却にこだわらないとトラブルになる
円満相続のためには、高値売却にこだわる必要があります。
マイホームの売却の場合は高く売れても売れなくても、その価格に納得するかどうかは自分もしくは家族内の問題です。
自分は高値売却にこだわらなくても、他の相続人に一人でも高値売却にこだわる人がいれば、不満や不信が生じるかもしれません。
相続したマンションの売却で失敗してしまえば、親戚間にわだかまりを作ってしまいかねないということです。
「高く売りすぎだ」「欲張りすぎだ」と怒る人はまずいませんので、高く売れるようベストを尽くし、トラブルを回避しましょう。
マンションを高く売るためには不動産屋選びが重要
マンションを高く売るためには、不動産屋選びが重要になります。
最初の不動産屋選びで失敗してしまうと、マンション売却を成功させるのが難しくなるからです。
質の高い不動産会社を選ぶためには、複数社を比較するのがポイントになります。
比較してみなければ、どこの不動産会社が誠実で、高く売却してくれる会社かわかりません。
インターネット上で不動産会社を一度に比較できる不動産一括査定サイトという便利ツールもありますので、必ず複数社を比較しましょう。
相続したマンションを売却するときの不動産屋選びには、以下のコツがあります。
- 相続という背景を考慮してくれる会社を選ぶ
- 相続税など税金についての知識が豊富な会社を選ぶ
- 高値売却にこだわってくれる会社を選ぶ
管理人からの一言「相続したマンションの名義変更は司法書士に依頼するのがベター」
相続したマンションの名義変更の手続きは、司法書士に依頼するのがベターです。
遺産分割協議や相続税の納税など、相続人にはやるべきことが多いため、複雑な手続きが必要な名義変更までやろうと思うと、時間的にも精神的にも余裕がなくなってしまいます。
マンション売却が成功すれば司法書士へ支払う金額以上の結果が得られますので、司法書士に手数料を支払ってでもマンション売却に費やす時間を捻出したほうが賢明です。
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