相続したアパート経営の画像

「親が相続税対策としてアパート経営をしていた」という人も、多いのではないでしょうか。

アパート経営による相続税対策は、メディアなどでもよく取り上げられており、相続人のためを思って始める人も少なくありません。

とはいえ、投資をやったことのない相続人からしてみれば「相続発生後、どう対処すればいいの?」「兄弟でどうやって分割すればいい?」など、分からないことだらけで不安だと思います。

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この記事では、「親がやっていたアパート経営を相続したあとの流れ」から「対処法と注意点」について紹介していきますので参考にしてください。

親がやっていたアパート経営を相続した場合どうすればいい?

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親がやっていたアパート経営を相続した場合、どうすれば良いか困る相続人も多いのではないでしょうか。

相続発生によってアパート経営を引き継いだあとの流れは、以下のとおりです。

  1. 住宅ローン残債があるか確認する
  2. 遺産分割協議で誰が所有者になるか決める
  3. 被相続人から相続人に名義変更する(相続登記)
  4. 賃借人に連絡する
  5. アパート経営を続けるかどうか検討する

それぞれ詳しく解説していきますので、参考にしてください。

ローン残債があるか確認する

相続したアパートに、ローンが残っていないかどうか確認します。

自宅を購入するときには団体信用生命保険に加入する人がほとんどですが、投資用不動産のローンを借りるときには加入しない人も少なくありません。

ローン残債の有無によって遺産分割協議の方向性も変わってくると思いますので、まずはローンが残っているかどうかはっきりさせましょう。

遺産分割協議で誰が所有者になるか決める

遺産分割協議を開き、相続人のうち誰がアパートを相続するか決めます。

遺言書の有無や他の遺産についても明確にしておき、スムーズに話し合いが進められるようにしておきましょう。

不動産はきれいに分けるのが難しいため、遺産の中でも揉めやすく、トラブルに発展しやすい傾向にあります。

自分がいらない、もしくは欲しいからといって、一方的に意見を押し通そうとすると言い争いになりかねませんので注意してください。

相続発生後の賃料は法定相続分通りに分割する

相続発生から遺産分割協議が整うまでには時間が空いてしまうため、相続発生後の賃料は誰のものなのかという問題が生じます。

遺産として扱われるのは被相続人が亡くなった時点の財産なので、相続発生後の賃料は遺産とは別のものとして扱うのが原則となっています。

裁判所のホームページに判例が記載されていましたので、参考にしてください。

相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し、その帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けない。

つまり、遺産分割協議によってアパートを相続する人を決めたとしても、相続発生後の賃料は法定相続分に従って分割しなければならないということです。

被相続人から相続人に名義変更する(相続登記)

遺産分割協議によってアパートを相続する人が決まったら、相続登記をします。

相続登記とは、アパートの名義を被相続人から相続人に変更することをいい、義務ではありませんが早めにおこなうことをおすすめします。

もしも相続登記をする前に新たな相続が発生してしまった場合、権利関係が複雑になり、トラブルに発展しかねないからです。

実際に、権利関係が複雑になって問題が解決しない不動産は少なくありません。

アパートを相続する人が決まったら、すぐに名義変更しておきましょう。

賃借人に連絡する

新たな経営者が決まったら、大家が新しくなったことを賃借人に伝えます。

できれば相続が発生した時点で連絡しておき、その後アパートを相続する人が決まってから改めて挨拶をするのがベターです。

被相続人の預金口座が凍結されてしまうと、賃借人が家賃を振り込めなくなってしまいますので、別の預金口座に振り込んでもらう必要もでてきます。

賃借人が、住んでいるアパートの大家が誰なのか知らないのは問題ですので、忘れずに伝えてください。

アパート経営を続けるかどうか検討する

必ずしも、相続人がアパート経営を続けなければならない訳ではありません。

儲かる条件の揃っている良質なアパートなら経営を続けても良いかもしれませんが、アパート経営には様々なリスクがあります。

そのリスクを負ってまで続けることにメリットがあるのかどうか、しっかりと検討してください。

アパート経営のリスク

  • 空室になれば家賃収入が得られなくなる
  • 家賃を滞納する借家人がいると家賃収入が減る
  • 地震や火災などが起こると大きな費用負担がある
  • ローン返済を滞ると競売にかけられる
  • 住民同士のトラブルを対処しなければならない
  • 設備不良が起こったり、老朽化したら修繕しなければならない

リスクに対応できる見通しがあるのであれば、アパート経営を続けても問題ないと思います。

ただしアパート経営は簡単ではありませんので、しっかりと知識を身につけ、リスクに備えましょう。

【アパートを相続したときの対処法】古い物件はリスクが高い

アパートを相続したときの対処法

アパート経営をおこなう自信がなければ、売却してしまうのがベターです。

相続した不動産を売却してしまうことに罪悪感や抵抗を感じるかもしれませんが、アパート経営には様々なリスクがあり、下手をすると借金を背負ってしまう可能性があります。

子供を苦労させるために、アパートを残す親はいません。

自信を持って「儲かる」と思えなければ、損害が生じる前に手放してしまったほうが良いでしょう。

ただし、売却することに失敗のリスクがないわけではありません。

相場より安く売ってしまったり、買主とトラブルに発展してしまったりするケースも考えられます。

不動産売却におけるリスクをなくすためには、優秀な不動産業者を選ぶことが大切です。

不動産売却が成功するかどうかは業者次第

どうしても専門家の力を借りざるをえない不動産売却では、不動産業者の力次第で売却が成功するかどうか決まるといっても過言ではありません。

とはいえ、「不動産業者の質を判断するのは難しい」と感じる人がほとんどではないでしょうか。

本などでも頻繁に紹介されているため知っている人もいると思いますが、不動産一括査定サイトを利用すれば、業者選びで失敗するリスクを抑えることができます。

不動産一括査定サイトとは、ネット上で物件情報を入力するだけで複数社にまとめて査定依頼できる便利ツールで、有効的かつ効率的なため人気が急増しています。

一括査定サイトを利用することによって業者選びで失敗するリスクを軽減できる理由は、以下のとおりです。

一括査定サイトによって業者選びで失敗するリスクを軽減できる理由
  • 悪質な業者が排除されている
  • 複数社を比較できる
  • アパートの売買取引に慣れている業者を紹介してもらえる

不動産一括査定サイトについてさらに詳しく知りたい人は、下記の記事も合わせてご覧ください。

不動産一括査定サイト大手12社を徹底比較!おすすめサイトから選び方まで解説

不動産一括査定サイトを利用すれば、物件がいくらで売却できるか効率的に調べられるだけでなく、質の良い不動産会社にも出会えます。できるだけ好条件で売るためには、サイト選びが重要。不動産のプロである管理人が、おすすめのサイトと選び方のポイントを解説していきます。

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相続発生によって親のアパート経営を引継ぎしたときの注意点

親のアパート経営を引継ぎしたときの注意点

相続発生によって親のアパート経営を引き継ぎした場合、以下の点には注意が必要です。

  • 手続きをしないと借金が法定相続分通りに分割されてしまう
  • 兄弟で共有名義にしない
  • 保証人は負債を放棄できない

それぞれ詳しく解説していきますので、対応方法についてしっかりと考えましょう。

銀行に申し出ないと借金が法定相続分通りに分割されてしまう

民法上、債権者を保護するために、被相続人の借金は法定相続分通りに相続することになっています。

遺産分割協議によってアパートを相続する人を決めたとしても、銀行に申し出ない限り、法定相続分通りに借金が按分されてしまうということです。

アパートを引き継ぐ人以外の相続人からすれば、遺産分割協議でアパートの権利について取り決めたにもかかわらず、ローン返済を請求されたら堪ったものではありません。

相続登記したとしても銀行の名義とは連動していませんので、アパートの権利者について取り決めたら、銀行に連絡して法定相続分通りに分割されないようにしてもらいましょう。

兄弟で共有名義にしない

相続したアパートを兄弟で共有名義にする人もいますが、後にトラブルの種を残してしまうため賢明ではありません。

アパートを兄弟で共有名義にしないほうが良い具体的な理由は、以下のとおりです。

  • 将来、新たな相続が発生した場合に権利が複雑化してしまう
  • トラブルが起こった場合、いちいち名義人全員で対応しなければならない
  • 建物が老朽化したときなどに、修繕内容や費用負担について意見がまとまらない
  • 途中で共有名義を解消したいと思ったとしても、贈与税が発生してしまう
  • 名義人全員が納得しないと売却できない

平等に遺産を分けるために兄弟で共有名義にする人もいますが、相続したアパートは単独名義にしておきましょう。

保証人は負債を放棄できない

被相続人がアパート経営のためにした借金の保証人になっている場合、相続発生後も返済義務は残りますので注意してください。

仮に相続放棄したとしても、保証人としての責任から逃れることはできません。

家賃収入のあるアパートなどの賃貸物件を相続したら準確定申告が必要

賃貸物件を相続したら準確定申告が必要

家賃収入のあるアパートなどの賃貸物件を相続したら、準確定申告をしなければなりません。

準確定申告とは、1月1日から相続発生までに被相続人が得ていた所得について、被相続人の代わりに相続人が確定申告することです。

相続発生から4ヶ月以内におこなう必要がありますので、被相続人の不動産所得を明確にして、すぐに準備を始めたほうが良いでしょう。

また親が青色申告をしていたとしても、改めて承認申請をおこなわなければ適用されないため、控除を受けたければ忘れずに申請をおこなってください。

青色申告について詳しく知りたい人は、下記の記事も合わせてご覧ください。

不動産所得の青色申告について〜白色申告との違いや適用条件・経費にできるものまでを解説

不動産所得は青色申告がベター?事業的規模などの適用条件や経費にできるものを解説しています。サラリーマンでも白色申告より青色申告のほうが良いのかや、青色申告特別控除はいくら適用されるのか、必要書類は何かについても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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準確定申告は誰がおこなうの?

誰が準確定申告するのか迷われるかもしれませんが、手続きは相続人の連名でおこないます。

各所得控除を受けることもできますので、損害保険料や医療費などについても明確にしておき、支払う税金を抑えましょう。

公務員がアパート経営を遺産相続できる?

公務員がアパート経営を遺産相続できる?

公務員の副業は原則禁止ですが、法改正があり、現在はアパート経営を許可されています。

ただし人事院によって制限が設けられていますので、注意してください。

制限の内容は、以下のとおりです。

独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。

つまり公務員は、アパートの部屋数が10室未満であれば引き継ぎ可能ですが、10室以上ある場合は引き継げないということです。

管理人からの一言「アパート経営に自信がなければ無理せず不動産会社に相談してみよう」

相続によって急にアパートの大家になり、戸惑う人も多いと思います。

親から引き継いだ財産だからといって無理してアパート経営を続けても、リスクによって後から苦労してしまうかもしれません。

被相続人にとっても、遺産によって相続人を苦しめることになるのは不本意のはずです。

自信がなければ一度、不動産業者に相談してみることをおすすめします。

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