マンションを売却しようと思ったときに物件の権利書がなかった場合、焦りますよね。
本来であれば権利書は厳重に保管しておかなければならない書類ですが、紛失してしまうこともあり得ます。
そこで権利証がないマンションを売却する救済措置が用意されていますので、確認しておきましょう。
この記事では、「そもそも権利証とは」から「権利書を紛失したマンションを売却する方法」、「権利書が無いマンションを売却するときの注意点」について紹介していきます。
権利証とは
権利証とは「登記義務者の権利に関する登記済証」のことで、略して登記済証とも言います。
権利証を持っていることが物件の所有者である証になりますので、マンションを売却するときには必ず用意しなければなりません。
2005年3月からは権利証に代わって、数字とアルファベットを組み合わせた12文字で作成された登記識別情報が発行されるようになりました。
引用元: 法務省
登記識別情報を知っている人が不動産の権利者とみなされますので、権利証よりも厳重に保管する必要があります。
キャッシュカードの暗証番号と同様に、他人には教えないということを徹底しなければなりません。
権利書を紛失したマンションを売却する方法
権利書はマンションの売買取引完了後、売主から買主に所有権を移転登記するときに必要になります。
権利書が無いと物件の真の所有者であることが証明できないため、登記所は登記を受け付けてくれません。
しかし権利書を紛失したマンションを売却する方法として、司法書士に「本人確認情報」という書類を作成してもらうか、事前通知制度という救済措置があります。
司法書士に「本人確認情報」を作成してもらって売却する
司法書士に「本人確認情報」という書類を作成してもらうというのが、権利証を紛失したマンションを売却する最も一般的な方法です。
司法書士が物件の所有者と面談して運転免許証などで本人確認をおこない、「本人確認情報」を作成、登記所に提出します。
この方法は司法書士に依頼しなければならないので、当然ながら費用がかかってしまうという難点があります。
本人確認情報を作成してもらうのにかかる費用は、だいたい3〜5万円です。
費用はかかりますが、登記申請と同じタイミングで手続きをおこなえるので、手間と時間がかからないというメリットがあります。
ただし権利証をなくしたことによって3〜5万円余分に費用がかかるのは不本意だと思いますので、もう一度家の中を探してみることをおすすめします。
必要書類 | ・運転免許証・パスポートなどの写真付きの身分証明書 ・実印、印鑑証明書 ・購入時の売買契約書や固定資産税納付書など、物件所有者であることを証明するもの |
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費用 | 3〜5万円 |
メリット | 手間と時間がかからない、確実である |
デメリット | 費用が高い |
「事前通知制度」を利用して売却する
事前通知制度とは、登記の申請後に登記所が売主に対して「登記申請があった旨」を郵送で通知する制度です。
通知は本人限定受取郵便で送られ、これによって本人確認がおこなわれます。
通知を受け取ったら署名捺印をして、登記申請が正当だということを登記所に申し出ます。
売主本人が事前に登記所に出向く必要があり、手間と時間がかかるという難点がありますが、費用は数千円程度でおこなうことができます。
万が一売主がミスをしてしまうと登記は却下され、決済直前になって所有権移転登記ができないという事態になりかねません。
司法書士に本人確認情報を作成してもらう方法が確実で間違いがないので、司法書士に依頼するケースがほとんどです。
必要書類 | ・運転免許証・パスポートなどの写真付きの身分証明書 ・実印、印鑑証明書 |
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費用 | 数千円 |
メリット | 費用を節約できる |
デメリット | 手間と時間がかかる、ミスの危険性がある |
権利書は再発行できない書類
権利書は法的な効力を持っていて悪用されたときのリスクが高いため、登記のときに一度しか発行されず、再発行はできない書類です。
住民票や戸籍謄本のように写しが発行されることもなく、紛失してしまったら上述で紹介した方法で売却するしかありません。
それだけ重要な書類を紛失してしまったのですから、売主の中には、紛失したままでも大丈夫なのかと心配される人もいると思います。
盗難の恐れがあるときは権利書を無効にする手続きをおこなう
もしも権利証が盗難された恐れがある場合には、「不正登記防止申出」あるいは「登記識別情報の失効申出」という制度を利用すると安心だと思います。
不正登記防止申出とは、3ヶ月以内に登記申請があった場合に申出人に通知する制度です。
登記識別情報の失効申出とは、登記識別情報を無効にさせる制度で、第三者が登記識別情報を使って登記をおこなおうと思ってもできません。
ただし登記申請には、権利証だけでなく実印と印鑑証明書が揃っていなければならないので、権利証を悪用される危険性は極めて少ないでしょう。
登記済権利証・登記識別情報を紛失したマンションを売却するときの注意点
登記済権利証・登記識別情報を紛失したマンションを売却するときの注意点は、以下の通りです。
- 決済直前に紛失したことが分かっても対応が間に合わない
- 権利書の保管場所をもう一度考えてみる
- 相続したマンションを売却するときは権利証を探す必要はない
決済直前に紛失したことが分かっても対応が間に合わない
決済直前に権利証の紛失が発覚した場合、決済日までに対応が間に合わない可能性があります。
決済日に手続きをおこなってもらえる「司法書士による本人確認」で対応できるのでは、と思われるかもしれませんが、司法書士が本人確認情報を作成するのには責任が伴うため、事前準備が必要になります。
もしも間違って違う人を所有者だと認めてしまった場合、その責任は司法書士に問われるのですから、慎重に手続きを進めるのは当然です。
司法書士に本人確認情報を作成してもらえば良いからと、決済当日に紛失した旨を伝えても手続きはしてもらえません。
決済日に権利証がなければ所有権移転登記がおこなえないので、決済は中止となり、買主や不動産会社に迷惑をかけることになります。
権利書の保管場所をもう一度考えてみる
権利書がなくてもマンションを売却することはできますが、権利書があれば余計な手間や費用をかけなくて済みます。
もう一度、権利証がないかどうか探してみましょう。
- 権利証の保管場所として考えられるところ
-
- 銀行の貸金庫
- 登記所に預けてある
- 家の金庫
- 寝室のタンス
権利証は大切な書類なので、銀行の貸金庫に預ける人も多いです。
家の中を探しても見つからない場合は、銀行の貸金庫に預けた可能性はないか、考えてみてください。
相続したマンションを売却するときは探さなくて良い
相続したマンションを売却する場合、権利証がどこに閉まってあるか分からず焦るかもしれません。
しかし相続したマンションを売却するときには、被相続人が持っていた権利証を探す必要はありません。
なぜなら相続登記をすれば、新たな所有者に物件の権利証が発行されるからです。
そのときに発行された権利証があれば、マンションは売却できます。
管理人からの一言「権利証の紛失は早めに発覚すれば問題ない」
権利証の紛失は、早めに発覚すれば大した問題ではありません。
マンションを売却できないのでは、と心配になるかもしれませんが、権利証がなくてもマンションを売却する方法はあります。
問題なのは、権利証がないことが決済直前に発覚すること、また紛失したことを決済日まで不動産会社に伝えないことです。
売買契約時までには権利証があるかどうか確認しておき、なかった場合はすぐに不動産会社に相談しましょう。
マンション売却で必要な書類で、権利書以外に紛失しているものはないか、下記の記事を参考に事前に確認しておくことをおすすめします。
この記事では、マンション売却時の必要書類について紹介しています。不動産売買では必要な書類が揃っていないと最悪の場合、損害賠償を請求される可能性があります。登記済権利書を紛失している売主も多いため、家を売るときに用意するものについては早めに確認しておきましょう。
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