マンションの売り出し価格は、不動産会社の査定額に5〜8%上乗せした金額に設定するのがベターです。
安すぎても高すぎても、マンション売却を失敗させる可能性がありますので注意してください。
とはいえ、そもそも不動産会社の査定額が間違っていたら、正しい売り出し価格を設定できませんよね。
- 正確な査定額を把握するためには複数社を比較することが大切
- ローン残高や諸費用などを差し引いた最低ラインを決めておく
- 成約価格との差をなくすためには不動産会社選びも重要
売り出し価格を決定するときの手順や注意点を解説していきますので、参考にしてください。
売り出し価格とは?成約価格との違い
マンションをいくらで売り出すかは売主が自由に決めることができ、このとき設定する値段が売り出し価格です。
売り出し価格の他に、売却価格とも呼ばれています。
一方で成約価格とは、実際に売買取引がおこなわれた金額を指します。
売り出し価格 | 売主が希望する金額 |
---|---|
成約価格 | 実際に売買取引された金額 |
マンション売却では値下げをしたり、買主から値下げ交渉されたりするため、「売り出し価格=成約価格」になるとは限りません。
ほとんどの場合、「売り出し価格>成約価格」となってしまいます。
最初に売りたいと思った金額と、実際に売れる金額にはズレが生じるのが一般的だということです。
理想は、売り出し価格のまま成約することですよね。
できるだけ売り出し価格と成約価格のズレをなくす、正しい売り出し価格の設定方法について解説してきますので参考にしてください。
マンションの売り出し価格の決め方を簡単4ステップで解説
マンションの売り出し価格は、安くても高くてもいけません。
安ければ損をしてしまうのはもちろん、高いと買い手がつかず値段を下げざるを得なくなるケースが多く、結局は売主にとってプラスになりません。
適切な売り出し価格を見極めることが、マンション売却を成功させるためには欠かせないのです。
では、適切な売り出し価格の算出方法を、手順に沿って紹介していきます。
- 売却価格の最低ラインを決める
- インターネットで検索して他の物件の売り出し価格を調べる
- 不動産仲介会社に査定してもらう
- 物件の査定価格から5〜8%上乗せした金額に設定する
売却価格の最低ラインを決める
マンションの売り出し価格を設定する前に、売却価格の最低ラインを決めておく必要があります。
ローン残高や売却にかかる諸費用などを踏まえ、下回ったら困るという金額を把握してください。
最低価格を考慮したうえで売り出し価格を決めないと、住宅ローンが返せないなどの問題が発生してしまう可能性があります。
一度決めた売り出し価格を上げることは避けるべきなので、後から困らないように最初にしっかりと決めておきましょう。
途中で値上げしない方がいい理由については、後述します。
インターネットで検索して相場価格を調べる
マンションの売り出し価格を決める前に、他の物件がいくらで売り出しているか調べて参考にしましょう。
類似物件がどのような値段設定をおこなっているのかチェックすることで相場観を養えるため、適切でない金額をつけてしまうリスクをなくせます。
マンションの売却相場は不動産情報誌や新聞の折り込みチラシなどでも調べることができますが、インターネットで検索するのが効率的です。
相場価格の調べ方について詳しく知りたい人は、以下の記事も合わせてご覧ください。
【マンションの売却相場の調べ方】相場価格より高く売る方法を徹底解説!
マンションの売却相場の調べ方について紹介しています。できるだけ高く売るにはどうすれば良いのか、相場価格を左右する要素は何なのかについても解説しています。もう少し高く売れたかもしれないという後悔を残さないためには、しっかりと相場価格を把握することが大切です。
不動産会社は早く売ることに力を入れる傾向にあるため、相場よりも少し低めに査定価格を算出する場合がほとんどです。
査定価格を鵜呑みにしてしまうと、実際に売れるかもしれない価格よりも安く売り出すことになってしまいますので注意してください。
不動産会社に査定してもらう
相場価格を調べてマンションの価値を把握したら、不動産会社にマンションの査定を依頼します。
上述したように、不動産会社は早く売るために安く見積もる傾向があるため、一社の査定額だけで適正価格を見極めることはできません。
とはいえ、いくつもの不動産会社に査定依頼するのは、手間がかかって大変ですよね。
不動産一括査定サイトを利用すれば、基本情報を一度入力するだけで、複数社にまとめて査定依頼することができます。
もしも他社よりも明らかに高かったり安かったりする不動産会社がいたら、注意してください。
高すぎる査定額は、売主の気を引くためにわざと高めに提示しているだけで、実際にその価格で売却できる見込みがないケースがあります。
安すぎる査定額は、言うまでもなく売却力に自信のない不動産会社の可能性が高いため、おすすめしません。
しつこい勧誘を避けるならイエウール
一括査定を利用してしつこい勧誘を受けないか心配な人もいるかもしれませんが、クレームに厳しい大手不動産一括査定サイトのイエウールを利用すれば安心です。
値段を調べるだけの利用も認められており、売却するかどうか決まっていなくても使える気軽さから利用者数No.1となっています。
イエウールを使った理由アンケート結果
もちろん真剣に売ることを検討している人には、丁寧に売却までの手順を案内してもらえます。
物件の査定価格から5〜8%上乗せした金額に設定する
査定依頼した不動産会社に過去の成約実績などを聞き、金額の根拠に納得することができたら、自分で売り出し価格を決定します。
売り出し価格は安くしすぎると損をしますし、高くしすぎると買主に見向きされず売れ残ってしまいます。
不動産会社が提示した査定額または本当に売却したい金額から、5〜8%上乗せした金額を目安に設定するのがベターでしょう。
5〜8%という数字の根拠は、公益財団法人東日本不動産流通機構が公表している以下のデータから算出しています。
中古マンションの新規登録状況と成約状況
築年数 | 売り出し価格 | 成約価格 |
---|---|---|
築0~5年 | 5,220万円 | 4,895万円 |
築6~10年 | 4,193万円 | 4,243万円 |
築11~15年 | 4,115万円 | 3,931万円 |
築16~20年 | 3,433万円 | 3,159万円 |
築21~25年 | 2,114万円 | 1,899万円 |
築26~30年 | 1,875万円 | 1,670万円 |
築31年~ | 2,219万円 | 1,678万円 |
データ参照元: 公益財団法人東日本不動産流通機構
築6〜10年のマンションは人気が高く、10%ほど上乗せした金額でも売却できる可能性があるため、少し強気の値段設定をしても良いかもしれません。
とはいえ、全体的には売り出し価格よりも成約価格の方が安くなっています。
売れなくて途中で値下げするケースもありますが、買主から値引き交渉されたケースがほとんど。
最初から値引き交渉される前提で値段設定をおこなっておくと、最低ラインを下回ってしまう心配がありません。
では、ここからは売り出し価格を決めるときのポイントや注意点について解説していきますので、参考にしてください、
値引き交渉される前提で価格を決めることも大事
繰り返しになりますが、マンションの売買では買主から値引き交渉をされることがほとんどのため、ギリギリの値段設定はやめておきましょう。
売り出し価格が売主にとっての最低ラインだったとしても、買主には分かりません。
買主からの値引き交渉に全く応じなかった場合、歩み寄ってもらえないと感じさせてしまい、購入意欲を損なわせてしまう可能性があります。
優秀な不動産会社であれば数十万円高くしたとしても買主を見つけてきてもらえますので、値引き交渉される前提で売り出し価格を決めるのがベターです。
ただし売却活動の途中で値下げしないと売れないほど、値段を高くするのは賢明ではありません。
他の物件に比べて高すぎたり安すぎたりするのはNG
売れなかったら値下げすればいいからと、査定額にかなり上乗せして売り出し価格を設定する人もいます。
確かに最初から弱気な価格で売り出す必要はありませんが、高すぎると良い物件であっても買主に見向きされません。
途中で値下げして適正価格になったとしても、買主は何か売れない理由があるから値段を下げたのではないだろうかと、敬遠する可能性もあります。
また実際の相場よりも安すぎる価格を設定した場合、マンションを早く売ることはできるかもしれませんが、損をしてしまいます。
後から値上げすることはできないため、早く売りたいという事情があったとしても、どこまで値段を下げるか不動産会社としっかりと相談して決めましょう。
基本的に後から値上げすることはできない
マンションの価格を後から高くすることは、購入希望者と不動産会社のどちらに対しても不誠実な行為です。
それぞれの立場から、なぜ値上げするべきではないのか解説します。
購入希望者は再び検討し直さなければならない
買い手は自分の予算内で最も良い条件のマンションを探すために、不動産業者をまわったり、内覧にいったりして労力や時間を費やします。
そうやって検討を重ねて購入を決断したにもかかわらず値上げをされたら、憤りを感じるのは当然ですよね
購入をやめてしまうかもしれませんし、トラブルになる可能性もあります。
買主を見つけてきてくれた不動産会社の努力を無駄にしてしまう
不動産会社は売主が決めた売り出し価格をもとに売却活動をおこない、その結果、購入希望者が現れて成約となります。
しかし「思ったより買い手がすぐについたから」「購入希望者がたくさん現れたから」といって値上げをしてしまえば、どうなるでしょうか。
早く買主を見つけようと動いてくれた不動産会社の努力を裏切ることになりますよね。
そうなれば値上げ以降、積極的に動いてもらえなくなっても仕方ありません。
情報を拡散せず小出しにして、少し時間が経ってから購入希望者が現れたほうが良い、ということになってしまうからです。
売り出し活動を始めてからの値上げは、検討してくれている購入希望者にも、頑張って購入希望者を見つけてきてくれる不動産会社にも不誠実な行為になります。
今後の不動産取引にも影響が出ますので、避けるべきでしょう。
とはいえ例外的に、値上げしても問題ないタイミングもあります。
値上げできるケースはどんなとき?
購入希望者がいない場合も、値上げすることは滅多にありません。
マンションが売れない状況において、値段を上げるということは考えにくいからです。
ただし以下のタイミングであれば、プラス要素となる値上げができるかもしれません。
- 不動産業界の繁忙期
- リフォームをして物件の価値が高まったとき
- 販売力のある不動産会社に変えたとき
正当な理由があり、なおかつ売却活動にプラスになるケースであれば、値上げも戦略の一つになります。
正しい戦略が立てられるように、査定価格がどのように算出されるのかについても知っておきましょう。
査定価格の算出方法について知っておこう
査定価格として提示される成約見込価格は、取引事例比較法を用いて導かれます。
取引事例比較法とは、周辺における直近の類似物件の成約事例などをもとに査定をおこなう方法で、その事例に対して対象不動産が劣っているのか優れているのかでプラスマイナスして査定します。
不動産仲介会社がマンションを査定時に見るポイントは、以下のとおりです。
- 最寄駅からの所要時間
- スーパーやコンビニの距離や利便性
- 街並みや、ゴミ集積所などの嫌悪施設の状況
- 騒音や振動、日照、通風の状況
- 築年数
- 管理員の勤務形態
- 修繕や清掃の程度
ただし同様の手法で、同じように査定しても、不動産会社によって査定価格は少しずつ異なります。
今までの成約実績や、比較に使用する事例が全く同じになることはないからです。
納得できる算出方法で査定価格を決めているかどうか、不動産会社にしっかり話を聞いてチェックしてみましょう。
新築プレミアムについて解説していきますので、どういうものなのか事前に確認しておいてください。
新築で買ったマンションは新築プレミアムを考慮しないと売れない
新築で買ったマンションを売却する場合、新築プレミアムに注意して売り出し価格を決めないと、なかなか買い手が現れない売れ残りマンションになってしまう可能性があります。
新築プレミアムとは、新築であることから本来のマンションの価値に上乗せされている価格のことで、販売価格の1〜3割ほどが新築プレミアムといわれています。
つまり本来のマンションの価値は購入金額の7〜9割程度であり、購入金額を主軸にして売り出し価格を決めてしまうと、相場より高くなってしまうということです。
不本意だとは思いますが、新築プレミアムを考慮した正当な相場で売り出し価格を決めましょう。
新築時の価格は不動産会社に調べてもらえる
購入時のパンフレットなどが手元になく、新築時の価格がわからない人も多いと思います。
マンションの新築時の価格は、不動産会社に調べてもらえます。
しっかりと把握しておきたい人は、見積もりを出してもらうタイミングで調べてもらうように依頼してみてください。
マンション売却を成功させるための売り出し価格の決め方について解説しましたが、成約価格との差をなくすためには不動産会社選びも重要です。
選び方のポイントを紹介していきますので、参考にしてください。
売却価格と成約価格の差をなくすためには不動産会社選びも重要
優秀で誠実な不動産会社を選べば、売り出し価格と成約価格のズレをなくすことができます。
反対に、不動産会社選びで失敗すると数百万円単位で損をする可能性があるため、注意しましょう。
どうしても不動産会社に頼らざるを得ないマンション売却では、不動産会社選びによって成功するかどうか決まると言っても過言ではないということです。
もっと慎重に不動産会社選びをしておけばよかったと後悔している人のエピソードを紹介しますので、参考にしてください。
40代・男性の体験談
マンションを売却中、なんと隣の部屋も売り物件になって競合することになりました。しかも値段はこっちの方が安かったのに、先に成約したのは隣の物件…。話しを聞いてみたら、不動産会社にリフォームを勧められてキレイにしたみたいでした。リフォーム代以上に高く売れていたので、どの不動産会社を選ぶのかって本当に大事だなと思いました。
この例に出てくる隣のマンションの人のように、的確なアドバイスをしてくれる不動産会社を選びたいですよね。
不動産会社を選ぶ際は、以下の2つのポイントを頭に入れておいてください。
- 売却力のある不動産会社をパートナーに選ぶ
- わざと査定額を高めに提示していないか見極める
それぞれ詳しく解説していきます。
売却力のある不動産会社をパートナーに選ぶ
マンションを高く売るノウハウを持っている不動産会社でなければ、売り出し価格と成約価格の乖離をなくすことはできません。
優秀な不動産会社に売却を依頼して、できるだけ売り出し価格のまま成約できるように頑張ってもらいましょう。
オリコン顧客満足度ランキングによると、マンションの売却で人気の不動産会社は以下の4社です。
1位 | 住友林業ホームサービス |
---|---|
2位 | 三井住友トラスト不動産 |
2位 | 野村の仲介 |
4位 | 大成有楽不動産販売 |
引用元: オリコン顧客満足度ランキング
この4社に売却を依頼すれば、成功する確率は高いと言えるでしょう。
大きな金額が動く不動産業界では、売却力の有無や営業マンの質がダイレクトに評判に表れるからです。
とはいえ、1位の不動産会社に依頼しておけば間違いないかというと、そうではありません。
ランキングは下でも、物件の種類や地域によっては2位や3位の不動産会社の方が合っているケースもあります。
複数社を比較するプロセスをおこない、物件にぴったりの不動産会社を見つけることが大切です。
一括査定すれば複数社の比較も手間がかからない
上述でも紹介したとおり、不動産会社を比較するときは不動産一括査定サイトを利用すれば効率的です。
大手不動産一括査定サイトのイエウールなら4社のうち3社と提携しているため、質の高い不動産会社にまとめて見積もり依頼できます。
イエウールと提携 | |
---|---|
住友林業ホームサービス | ◯ |
三井住友トラスト不動産 | ◯ |
野村の仲介 | × |
大成有楽不動産販売 | ◯ |
そのため上記の3社よりもベストな不動産会社があった場合は、そちらを優先的に紹介される場合があります。
見積もりを出してもらったからといって売却しなければならない制限はなく、売り出し価格の目安が知りたいだけでも利用できます。
わざと査定額を高めに提示していないか見極める
不動産会社が提示する査定価格は、その金額で売却できると保証されている金額ではありません。
保証されているのであれば、何社かに見積もり依頼して一番高い査定価格を出してくれたところを選べばいいのですから、不動産会社選びは容易になりますよね。
しかし実際のところは、査定価格を高く提示してくれた不動産会社を選んだからといって、そのとおり高値で売却できるとは限りません。
飛び抜けて高い査定価格を提示してくる不動産会社がいたら、なぜその金額になったのか詳しく聞いてみましょう。
もちろん本当に売却力があるのであれば、何の問題もありません。
最初から優秀な不動産会社に見積もり依頼しておけば、そんな心配をしなくても済みますね。
イエウールで一括査定したら310万も高くなった
管理人がイエウールで自宅マンションを一括査定したところ、街の不動産会社より310万円も高い査定価格をだしてもらえました。
イエウールはクレームに厳しい会社なので、不動産業者からしつこい営業電話がかかってくることはありません。
物件情報を入力するだけの簡単手続きで、すぐに売却相場が分かる手軽さも好評です。