不動産売買契約締結時には、実印と認印のどっちが適切なのか悩む人もいると思います。
結論から言いますと、売買契約書に押印する印鑑は認印でも問題はありませんが、実印および印鑑証明書を用いるのが適切です。
売主は契約の信頼性を高めるために、買主は住宅ローンの契約書等との整合性を持たせるために、実印を使用するのが通例となっています。
この記事では、「売買契約書の押印には実印と認印どっちが必要?」から「不動産売買での実印と認印の使いわけ方」について紹介していきます。
不動産売買契約書は実印と認印どっちが必要?
不動産売買契約書の押印は認印でも問題ありませんが、契約の安全性・信憑性を高めるために実印を用いることをおすすめします。
現に不動産会社から、実印を用意するように言われた人も多いのではないでしょうか。
「なぜ、認印でもいい書類に実印を使うの?」と思われるかもしれませんが、実印を捺印することで売主による「なりすまし」等のリスクを減らすことができ、安心して取引を進められるという理由があるからです。
売主が不動産売買契約書に実印を使用したほうがいい理由
売主が不動産売買契約書に実印を使用したほうがいい理由は、以下の4つです。
- 物件所有者本人であることを買主に証明するため
- 契約の信頼性を高めるため
- 所有権移転時に法務局が照合しやすくするため
- 容易に契約解除となるリスクを防ぐため
売主が不動産売買契約書で実印を使用することで、物件の所有者であると買主に証明でき、契約の信頼性を高められます。
また所有権移転登記の際には必ず実印と印鑑証明が必要になるのですが、合わせて売買契約書の写しを提出することが一般的です。
売買契約書と所有権移転登記で用いる印鑑が一致していれば書類の信憑性が増し、法務局も照合しやすくなります。
実印を使うことで契約に重みが出るので売主も買主も気持ちが引き締まり、契約解除となる確率も低くなるでしょう。
買主が不動産売買契約書に実印を用いたほうがいい理由
買主が不動産売買契約書に実印を用いたほうがいい理由は、以下の3つになります。
- 書類に整合性を持たせるため
- 住宅ローン契約時に銀行が照合しやすくするため
- 容易に契約解除となることを避けるため
買主は売買契約書をはじめとする、すべての書類を実印で統一することで取引に整合性を持たせられます。
住宅ローンの本審査の際に実印と合わせて売買契約書も提出することになるのですが、同じ印鑑が使ってあれば正当性を明白にすることができ、銀行側も照合しやすくなります。
買主の中には実印を持っていないという人もいるかもしれませんが、住宅ローンの本審査のときには必ず用意しておく必要がありますので、先に作っておくと良いでしょう。
また買主が実印を使うことで売主に緊張感を与えられ、軽々しく契約解除されるリスクを避けられるという効果も見込めます。
その物件を買いたい気持ちが強いのであれば、売買契約書には実印を使用したほうが良いということです。
不動産売買では「実印」と「認印」どうやって使い分けたらいい?
不動産売買取引における実印と認印の使い分けは、本人の意思表示が重要な意味を持つ書類かどうかで判断するのがベターです。
たとえば所有権移転登記や抵当権設定登記には、実印であることが求められます。
所有権移転登記は「物件の所有者を変更していいですよ」という意思表示であり、抵当権設定登記は「住宅ローンの担保として物件を差し出します」という意思表示であるからです。
これらが所有者本人の知らないところでおこなわれてしまうと、本人は物件を失うという大きな損害を被ってしまいます。
不動産取引で実印が必要になる書類は、以下の3つと覚えておくと良いでしょう。
- 不動産売買契約書
- 所有権移転登記(売主)
- 住宅ローン契約関係(買主)
そもそも「認印」と「実印」の違いとは?
「認印」とは、印鑑登録していない印鑑のことで、書類の内容について「目を通しました」という意思を表すときに使います。
一方「実印」は、印鑑証明の申請をして受理された印鑑のことで、いくら高級な象牙に複雑な書体を用いて名前が彫ってあったとしても、印鑑登録していないものは実印ではありません。
認印 | 印鑑登録していない印鑑。 |
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実印 | 印鑑登録してある印鑑。個人の証明が必要な書類に用いる。 |
管理人からの一言「売買契約書は認印でも問題ないが実印のほうがベター」
不動産売買契約書に押印する印鑑は売主も、買主も実印を使用することをおすすめします。
実印を用いることで契約自体の信頼性を高めることができるだけでなく、契約解除となるリスクを避ける効果も見込めるからです。
実印を推奨する不動産会社が多いのも、そのような観点からであり、安心・安全に契約を進めるためには実印を用いるのが望ましいといえます。
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