- 市街化調整区域は売れるの?
- 売れるとしたらいくらで売買できる?
市街化調整区域にある家や土地は、様々な制限を受けています。
自分の不動産にもかかわらず、自由にできないことに憤りを感じている人も多いのではないでしょうか。
結論から言いますと、市街化調整区域にある家や土地でも売却することは可能です。
ただし通常の売却よりも手続きが複雑で、ハードルが高いのも事実。
難しそうと敬遠するかもしれませんが、市街化調整区域についてしっかりと理解することが売却への近道となります。
この記事では、「市街化調整区域の制限内容」から「売却する方法」について、わかりやすく解説していきます。
市街化調整区域とは?何の目的で作られた制度?
市街化調整区域とは、市街化を抑制する区域、つまり原則的に建物を建ててはいけない地域のことです。
都市計画法7条によって定められることとなった都市計画区域の一つで,市街化を抑制すべき区域。市街化区域に対するもので,この区域内では原則的に宅地造成などの開発行為が禁じられ (都市計画法 34) ,市街化を抑制することとしている。
引用元: 市街化調整区域とは-コトバンク
農地や山林を守るために作られた制度で、市街化調整区域では自由に家を新築したり、増築したりすることはできません。
新たに建物を建てるのであれば、地方自治体に開発許可を得る必要があります。
一方で、市街化を積極的に進める区域のことを市街化区域と言います。
市街化調整区域 | 市街化を抑制する区域 |
---|---|
市街化区域 | 市街化を積極的に進める区域 |
いずれも計画的な街づくりが必要であるとして、都市計画法によって都市計画区域に指定されている地域になります。
市街化調整区域と市街化区域は線引きによって区分されている
市街化調整区域と市街化区域の区分のことを、線引きといいます。
売却する物件が線引き後に建てられたのか、線引き前から建っていたのかによって制限内容が異なります。
土地の全部事項証明書や固定資産税課税台帳の写しなどで確認できますので、把握しておきましょう。
既存宅地は制限が緩和される
線引き前からある既存宅地は、市街化調整区域に指定される前から建てられていたことから、制限が緩和されています。
これを既存宅地確認制度といいます。
既存宅地確認制度(きそんたくちかくにんせいど)とは、市街化調整区域内の土地に対する制限を緩和し、その土地が「市街化調整区域とされた(線引き)時点で既に宅地となっていた」などの条件を満たした場合に、建築行為許可を免除する制度である。
既存宅地であれば、地方自治体からの開発許可を得なくても建物を建てることができます。
そのため、市街化調整区域だからといって売れづらくなることはありません。
では既存宅地ではない場合、どのように売却すればいいのか解説していきますので参考にしてください。
市街化調整区域にある家や土地は売れない?売却方法を簡単4ステップで解説
市街化調整区域に指定されていたとしても、売買取引することは認められています。
ただし使用用途に制限があることから、買い手はつきづらくなります。
市街化調整区域を売却するためには、地方自治体から開発許可を得られるかが重要になるということです。
市街化調整区域を売却する手順
- 市街化調整区域を売却するノウハウがある不動産業者を探す
- 開発許可を得られない場合に契約解除になる特例をつける
- 建築条件を確認しておく
- 広告や重要事項説明書に制限がある土地であることを明記する
一つずつ解説していきますので、参考にしてください。
1.市街化調整区域を売却するノウハウがある不動産業者を探す
まずは、市街化調整区域を売るための専門的なノウハウがある不動産会社を探しましょう。
その際、不動産一括査定サイトを利用しないと非効率的なので注意してください。
市街化調整区域の不動産を扱っていない会社も多く、わざわざ事務所に出向いても査定してもらえない可能性が高いからです。
不動産一括査定サイトなら、ネット上で物件情報を入力するだけで複数社にまとめて見積もり依頼でき、メールで査定結果が届くため無駄足を踏む心配がありません。
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2.開発許可を得られなかった時は契約解除になる特例をつける
市街化調整区域にある不動産は、「開発許可を得られない場合は契約解除になる」という内容の特例をつけて売却します。
こうすることで買い手のリスクを抑えることができ、購入してもらいやすくなります。
3.建築条件を確認しておく
売却する準備として不動産の立地や土地の形状、既存宅地なのかどうかを確認しておきます。
不動産を売却するためには、売主自身が物件についてしっかりと知識を身につけることが基本であり、市街化調整区域の場合は特に重要になります。
どのような制限があるのか、反対にどのようなことなら可能なのか、明確にしておきましょう。
4.広告や重要事項説明書に制限がある土地であることを明記する
買い手がつきにくくなるからといって、市街化調整区域である事実を隠して売却することはできません。
広告や重要事項説明書に明記するのはもちろん、買主がしっかりと制限内容について理解し、納得したうえで売買契約を結ぶ必要があります。
一般の住宅用に売却する方法を紹介しましたが、開発許可が得られるとは限りませんよね。
飲食店などの起業目的で土地を探している人を狙えば、もっと簡単に売却できます。
飲食店や賃貸住宅の建築なら用途変更が認められる
線引き後に建てられた住宅は、建て替えや用途変更などの許可が得にくいのが現実です。
しかし制限が厳しいことから空き家問題が深刻化したため、国土交通省は開発許可制度運用指針を以下のように改正しています。
(1)観光振興のために必要な宿泊、飲食等の提供の用に供する施設
現に存在する古民家等の建築物自体や、その周辺の自然環境・農林漁業の営みを、地域資源として観光振興に活用するため、当該既存建築物を宿泊施設や飲食店等に用途変更する場合
(2)既存集落の維持のために必要な賃貸住宅等
既存集落においてコミュニティや住民の生活水準の維持を図るため、当該集落に存する既存建築物を、移住・定住促進を図るための賃貸住宅、高齢者等の福祉増進を図るためのグループホーム等に用途変更する場合
つまり、飲食店を開業する場合や賃貸住宅、老人ホームを運営する場合には、用途変更が認められるということです。
一般住宅用としてだけではなく、起業したいと思っている人もターゲットにして売却しましょう。
農家になるための移住なら住宅の建築が認められる
農家をするための移住であれば住宅を建築できるため、以下のような人もターゲット層になります。
- 農家になりたい人
- 農家のための店を出したい人
- 自給自足の生活をしたい人
- 都会での生活に疲れて田舎暮らしをしたいと思っている人
このような人たちにとって、市街化調整区域はうってつけの土地です。
農地の売却については下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
農地の売買にはルールがある?売却方法と注意点から価格相場まで解説
農地を売買するときのルールや注意点を徹底解説しています。売却方法や価格相場、税金など、田んぼや畑を売るために必要な知識をわかりやすく紹介していますので参考にしてください。
ただし市街化調整区域が売れづらいのは、住宅を建てるのが難しいという理由だけではありません。
買主が市街化調整区域にある中古住宅を購入するデメリット
市街化調整区域が売れづらい理由は、以下のデメリットがあるからです。
- 融資が通りづらい
- 将来、売却するのが難しい
- 建て替え行為などに制限がある
買主の立場から、市街化調整区域について考えてみましょう。
融資が通りづらい
市街化調整区域は土地の評価が低いため、融資が通りづらいというデメリットがあります。
高額な家を購入する場合、ほとんどの人はローンを利用します。
むしろローンを利用できなければ、家を購入できないという人も少なくありません。
融資が通りづらい市街化調整区域は、住宅ローンの利用を前提に家の購入を検討している人にとって、手をつけにくい物件であるということです。
将来、売却するのが難しい
市街化調整区域の売却はハードルが高いため、「もしも買うことができても、将来売ることができないかもしれない」と懸念する買主も少なくありません。
売却する予定はなくても、制限が厳しいというのはどうしてもネックになります。
建て替え行為などに制限がある
市街化調整区域は建て替え行為などに制限があるため、所有しているにもかかわらず、自由にできないというデメリットがあります。
たとえば将来、建物の寿命によって建て替えたいと思っても、許可を得なければ建て替えることはできません。
厳しい制限をわずらわしいと考えるのは当然であり、避けられてしまう原因となっています。
管理人からの一言「市街化調整区域の売買は専門家のアドバイスが必要」
最後に、市街化調整区域を売却するときのポイントをおさらいしておきます。
- 線引き前に建てられた既存宅地であれば、通常どおり売却できる
- 購入のハードルを下げるために、開発許可が得られなければ契約が無効になる特約をつけて売却する
- とにかく市街化調整区域について詳しい不動産会社を見つけることが大事
狙うべきターゲット層や効果的な広告の出し方などの売却戦略については、市街化調整区域に詳しい不動産会社を見つけられれば全て任せられます。
市街化調整区域の売却に強い不動産会社を見つけられるかが、成功のカギということです。
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