「土地などの資産があると生活保護を受けられない」「相続した土地を売却すると生活保護が廃止される」という話を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
- 生活保護を受けていると土地や建物などの不動産を売却できないって本当?
- 不動産を売却しても生活保護を受け続けることはできる?
この記事では、これらの疑問にわかりやすく回答していきます。
「生活保護を受けていると土地を売れない」は間違い!
「生活保護を受けていると土地を売れない」という話を耳にすることがあります。
しかし、これは間違いです。
生活受給者でも、土地を売却することはできます。
土地や建物などの不動産を売却した場合の生活保護の取り扱いについては、後述で詳しく解説します。
まずは、生活保護を受給するための要件を確認しておきましょう。
生活保護を受けるための要件
- 収入が最低生活費を満たない
- 病気で働けない
- 車や預貯金などの資産を持っていない
- 高額あるいは生活に不要な不動産を持っていない
- 生活を援助してくれる親族がいない
土地や建物などの不動産を持っていたとしても、生活に必要だと判断されれば、生活保護を受けながら住み続けることができます。
しかし不動産を売却して収益を得るのであれば、当然ながら「そのお金を生活費に充てることができるはず」と判断されます。
減額なのか、停止あるいは廃止になるのかは、売却金額によって異なります。
土地や建物などの不動産を売却すると生活保護費を返還しないといけない!?
不動産を売った場合の生活保護の取り扱いは、以下のとおりです。
- 利益があった場合は、今までに受け取った保護費を返還する
- 返還してもまだ利益が残るのであれば、保護費が減額あるいは停止される
生活保護費は、税金で賄われています。
読売新聞のホームページに、生活保護費の内訳について記載されていましたので参考にしてください。
保護費の4分の3は国が負担します。残り4分の1が自治体負担ですが、自前の財源で足りない場合は総務省から出る地方交付税でおおむねカバーされます。
引用元: 生活保護費について-読売新聞
自力で生活できる財源ができたのであれば、生活保護費を調整されるのは当然です。
ただし売却による利益がなくなり、最低生活費を確保できなくなった場合、受給額は元に戻ります。
売却代金から経費を差し引いたものが売却益になる
買主から受け取った売却代金が、そのまま利益として認定されるわけではありません。
不動産売却をするうえで必要な仲介手数料などは、経費として認めてもらえます。
たとえば、土地を1,500万円で売却できた場合の仲介手数料は、「1,500万円×3%+6万円=51万円」になります。
土地や建物を売却するときにかかる経費について詳しく知りたい人は、下記の記事も合わせてご覧ください。
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売却益があまりにも高額だと保護は廃止される
不動産を売却したことによる利益が高額であった場合、生活保護は廃止されます。
停止とどう違うのか、疑問に思われた人もいるのではないでしょうか。
生活保護の停止と廃止の違い
停止 | 一時的に保護が受けられなくなる |
---|---|
廃止 | 完全に保護を受けられなくなる |
停止は一時的なものなので、最低生活費の確保ができなくなった場合、保護費の受給が再開されます。
一方で、廃止されてしまった場合、最低生活費が確保できなくなったとしても、すぐに保護費を受け取ることはできません。
再び生活保護の申請をして、厳しい審査に通過する必要があります。
ケースワーカーによっても判断が異なる
実際のところ、どのような取り扱いになるかは、ケースワーカーによっても判断が異なります。
どのような状況になりそうなのか、担当者に素直に相談してみるのが一番です。
いくらで売れそうなのかを明確にしておくと、具体的なアドバイスがもらえるので調べておきましょう。
土地や建物の売却によって利益がでるかどうかは、不動産会社に査定してもらえば分かります。
査定の理由について詳しく聞かれたくない人は、不動産一括査定サイトのイエウールを利用すれば、しつこい勧誘を避けられるのでおすすめです。
「とりあえず値段が知りたい」という利用者が8割以上なので、気軽に利用できます。
保護を受けたまま不動産売却する方法
生活保護を受けたまま不動産を売却したい人は、売却代金を生活保護費の半年分以内におさめる必要があります。
半年分以上の利益があると、生活保護は打ち切られてしまうからです。
自分で調整するのは難しいと思いますが、とにかく自宅がいくらで売れるのか知っておかなければ、何も分かりません。
土地持ちでも生活保護は受けられる!持ち家がある場合の注意点
そもそも土地持ちでも生活保護が受けられるのか、疑問を抱いている人もいるのではないでしょうか。
上述でも軽く触れましたが、自宅であれば、所有したまま生活保護を受けられます。
厚生労働省にも、生活保護を受けるための要件について以下のように記載されています。
預貯金、生活に利用されていない土地・家屋等があれば売却等し生活費に充ててください。
引用元: 生活保護制度 |厚生労働省
「生活に利用されていない土地」と記載されています。
つまり、生活に利用している自宅は、保護申請の可否に影響しないということです。
ただし、住宅ローン完済前の場合は話が変わります。
住宅ローン完済前の自宅を所有している人は売却指導を受ける
住宅ローン完済前の自宅を所有している人が生活保護を受ける場合、必然的に保護費からローンを返済することになります。
しかし国民から集められた税金である保護費が、ローン返済に使われるのは適切ではありません。
返済期間や金額によっては保護を認めてもらえるケースもある
ローンの返済期間が短い、かつ支払い金額が少額であれば、住み続けながら生活保護を受けられるケースもあります。
生活保護の受給を認めてもらえる住宅ローン残債の基準は、自治体によって異なります。
「生活保護運用事例集」に、住宅ローン残債の基準について記載されていましたので参考にしてください。
目安としては、例えば、期間は5年程度、金額は月毎の支払額が世帯の生活扶助基準の15%以下程度、ローンの残額が総額で300万円以下程度が考えられるが、個別事例ごとに慎重に判断すべきであろう。
リースバックなら売却後も住み続けられる
中には、「本当は自宅に住み続けたい」という人もいるでしょう。
リースバックなら、生活保護を受けるために自宅を売却したとしても、そのまま住み続けることができます。
自宅を売却した相手と賃貸契約を結び、賃料を支払いながら住み続けること。
住宅ローン完済前の不動産を所有していることから生活保護を受けられなくて困っているものの、「手放したくない」という気持ちがある人はリースバックを検討してみてください。
詳しくは、下記の記事で詳しく解説しています。
リースバックのメリット・デメリット|評判やトラブル事例まで紹介
リースバックのメリット・デメリットから実際に不動産売却した人の評判、トラブル事例まで紹介しています。そもそもどんな仕組みなのかや家賃相場、リバースモーゲージとの違いも解説しています。利点だけで飛びつくと、思わぬリスクにさらされてしまいますので要注意です。
生活保護受給者でも土地を相続するか相続放棄するかは選択できる
生活保護受給者でも、相続発生による土地の取得はできます。
ただし、遺産相続によって生活保護の要件から外れてしまう可能性があることは、念頭に置いておきましょう。
また遺産相続した土地を売却する場合、保護費を返還しなければならなくなります。
返還するのは、相続発生から売却するまでに受け取っていた分の保護費です。
中には、生活保護を続けたいという理由から、相続放棄を考える人もいるでしょう。
認められるのか不安になると思いますが、その選択も可能です。
固定資産税の免除を受けられる
生活保護受給者は、固定資産税が免除されます。
東京都主税局のホームページに、生活扶助を受けている人の減免制度について記載されていましたので参考にしてください。
減免の対象となるのは、以下の税目です。ただし納期限が到来する前に申請をしていただく必要がありますのでご注意ください。
・個人の都民税
・個人事業税
・固定資産税・都市計画税
固定資産税を免除してもらいたい人は、市役所の固定資産税担当課で免除申請をおこなってください。
高齢者だから心配!生活保護受給者が亡くなったら所有していた土地はどうなる?
生活保護を受けている人の中には、「自分が亡くなったら、この土地はどうなるのだろう」と考えている人もいるかもしれません。
生活保護を受けていた場合であっても、亡くなった後は、通常どおり遺産は相続人に相続されます。
また相続人が土地を売却したとしても、被相続人が生前受け取っていた保護費を返金する義務はありません。
当然ながら、この仕組みに対して「生前に扶養義務を果たしていなかった相続人が遺産相続できるのはおかしい」という声もあります
しかし現在のところ、日本の資産の4割は相続によるものと言われていることから、その生活基盤を奪うべきではないという国の判断がなされているのが実情です。
管理人からの一言「生活保護費がもらえなくなるかどうかは売却代金による」
不動産売却によって生活保護が受けられなくなるかどうかは、ケースワーカーの判断で決まります。
そしてケースワーカーが判断するときに目安にしているのが、「利益がどのくらいあったか」という点です。
まずは、所有している土地の価値を調べて、利益が出るかどうか確認してみましょう。
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