マンションに住んでいる人の中には、
- 老朽化が進んできたけど、いつまで住めるのかな?
- もしも寿命がきたら、どうなるの?
という疑問を抱いている人も多いのではないでしょうか。
日頃から大切に使い、定期的に大規模修繕をしていても、寿命は必ずきます。
実際に、建物の限界によって建て替えがおこなわれた事例はいくつもあります。
自分が住んでいるマンションの寿命はいつなのか、建て替えが実行されるとどうなるのかについて知っておきましょう。
この記事では、「マンションの寿命がきたらどうなるのか」から「建て替えのタイミングと住民の費用負担」について紹介していきます。
マンションの寿命がきたらどうなるのか知っておこう
マンションに寿命がきた場合、住人の命の危険もあるため、建て替えが必要になってきます。
生活している中で、マンションの寿命について常に気にしながら暮らしている人はいないと思います。
しかし、間違いなく限界がきます。
素人であってもマンションの建て替えが大変であることは分かるため、考えるのを後回しにしてしまいがちですが、建て替え問題にはしっかりと向き合ったほうが良いでしょう。
早めに行動すれば、建て替え問題から上手に逃れられる可能性があります。
大規模修繕を繰り返して住むことはできないの?
「わざわざ建て替えなくても、大規模修繕で直せば良いのでは」と思われる人もいるかもしれません。
しかし築年数が進むと大規模修繕にかかる費用がふくらみ、建て替えにかかる費用と変わらなくなってきます。
経年劣化によって他の住居に移り住む人が増えれば、修繕積立金が集まらず、維持すればするほど状況が悪化する悪循環に陥るおそれもあります。
マンションの法定耐用年数は50年
マンションがいつまでもつのか、気になる人も多いと思います。
マンションの耐用年数については、国土交通省のホームページに専門家の研究結果が記載されていましたので参考にしてください。
実態調査を行った結果、鉄筋コンクリート部材の耐久実態は50年以上あると認められた。
専門家によっては耐用年数が150年という知見を示す人もいますが、50年が妥当だと思います。
なぜなら現在建て替えられているマンションのほとんどが、築50年前後で工事がおこなわれているからです。
早いもので築30年、遅いもので築60年が施行時期の現状になります。
建て替え時期に誤差があるのは、使用状況や地域によって建物の劣化状態に差があるからです。
自分のマンションの状態は築年数から考えて妥当なのか、あるいは劣化が進んでいるのか、判断してください。
住み続けるべきか手放すべきか考える
マンションがどんな状態にあるのか把握できたら、住み続けるのか手放すべきなのか考えてください。
「手放すことは考えていなかった」という人もいるかもしれませんが、マンションが良い状態なのであれば買い手がつく可能性があるため、建て替え問題に巻き込まれる前に売却するのも手です。
劣化が進んでいたとしても金額を安くすれば買い手が現れる見込みがあり、売るに売れない状態になってしまうリスクから回避できます。
とにかくマンションを売却した場合にいくらで売れるのか把握して、どうするのか考えましょう。
マンションの価値は、不動産一括査定サイトで簡単に調べることができます。
不動産一括査定サイト大手12社を徹底比較!おすすめサイトから選び方まで解説
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建て替え時期は築年数だけでは判断できない
マンションの耐用年数は50年が妥当だと言いましたが、どんな状態になると建て替えを検討する必要が生じるのでしょうか。
建て替えが必要かどうかの判定は、まず管理組合によっておこなわれます。
管理組合がチェックする項目は、以下のとおりです。
・ピロティや、壁のない独立柱はあるか
・外壁や柱、梁等にひびが入っているところが目立つか
・外壁や柱、梁等のコンクリートが欠けたり、剥がれたりしているか
・庇やバルコニーの付け根にひび割れがみられるか
・外壁のタイル等が浮いたり、剥がれ落ちたりしているか
・雨漏りや、上階からの漏水が目立つか
・本来勾配のない建物本体の床版(エントランスホールや階段室の踊り場等)にビー玉を置くと自然に転がるか
管理組合がこれらを確認して問題があると判断した場合、さらに専門家に建物の検査をしてもらいます。
築50年という数字だけではなく、建物の状態によって建て替えのタイミングは異なります。
老朽化したマンションの建て替え費用|住民負担はいくら?
老朽化したマンションを建て替えるには、莫大な費用がかかります。
マンションを建て替えるときにかかる費用は、1世帯あたり2,000万円が相場と言われています。
毎月の修繕積立金だけでは到底まかなうことができないため、区分所有者がそれぞれ持ち出しで支払わなければなりません。
住民全員が裕福であれば良いですが、そんなケースは稀でしょう。
また住民の中に高齢者がいた場合、「自分が死んでからにしてほしい」という意見も出てきます。
区分所有者の5分の4以上の賛成がないと建て替えを実行することができないのですが、話し合いがスムーズに進むケースはほとんどなく、難航してしまうのが一般的です。
しかし国はこの状況を解消するために、建替法を改定しました。
建て替え費用が払えない!持ち出しなしは可能?
建替法の正式名称は「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」で、改定によって「マンション敷地売却制度」がつくられ、マンションの建替えに対するハードルが低くなりました。
マンション敷地売却制度は、区分所有者の5分の4が納得すればマンションを敷地ごと売却できるように取り決めた制度です。
対象物件は耐震性不足のマンションのみになりますが、これまでは区分所有者全員の同意がなければ可決されなかったため、建て替えを後押しするための制度であることがわかります。
売却した後は、建て替えられたマンションに住むか、他の物件で暮らすのか選ぶことができます。
生活をしていくうえで不安を覚える建物に暮らし続けたり、高額な持ち出し金を支払って建替えたりするよりも、売却代金を受け取って安心安全な住宅に住み替えたほうが良いのは言うまでもありません。
マンション敷地売却制度を利用したい場合は、管理組合に提案して売却決議を開いてもらいましょう。
耐用年数を過ぎたらマンションは最終的にどうなる?
建替法が改定されたとはいっても、区分所有者の5分の4以上の賛成が必要なことに変わりありません。
マンションを建て替えることができたケースはまだまだ少数であり、高齢者や低所得者から同意が得られなかったりして、話し合いがまとまらない場合も散見されます。
そして建て替えることができないまま寿命を迎えたマンションの行く末は、スラム化です。
まず建物が劣化すると他の住宅に移り住む人が増えたり、高齢者が死亡したりして、空室が目立つようになります。
空室があるということは管理費や修繕積立金を十分に回収できないため、メンテナンス費用、ましてや建替え費用を捻出することは難しくなるでしょう。
維持管理していくのが難しくなってしまったマンションを、「限界マンション」といいます。
限界マンションのその後はスラム化
どうにか管理を続けるために安い金額で賃貸に出す管理人もいますが、そうすると貧困層が集まるようになり、治安が悪くなるという落とし穴があります。
限界マンションになってしまってから事態が好転することはまずないため、そのまま建物が廃墟となるのを待つしかなく、最終的にはスラム化してしまいます。
限界マンションの問題について詳しく知りたい人は、下記の記事も合わせてご覧ください。
限界マンションとは?築年数との関連性から終末はどうするのかまで解説
限界マンションとは?築年数との関連性から終末はどうなるのかまで解説しています。マンションがスラム化する可能性は、地方だけでなく東京や大阪、福岡の博多などの都会にもあります。所有者としてリスクとしっかりと向き合いましょう。
管理人からの一言「マンションの寿命がくるまえに手を打つ必要がある」
マンションの寿命について考え始めたら、早めに行動することが大切です。
建て替えを希望するのであれば管理組合の一員として集会の開催を提案したりできますし、寿命がくる前に手放すのであれば売却活動をおこなう必要があります。
限界マンションになって打つ手がなくなり、売るに売れない状態になってからでは手遅れになってしまいます。
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