非居住者が不動産売却する際には、源泉徴収されるかどうかチェックする必要があります。
源泉徴収される場合、売却代金から源泉徴収分を差し引いたものが買主から受け取る金額になるため、事前に把握しておかないと適切な資金計画が立てられません。
とはいえ、「源泉徴収が必要かどうかの判定基準は?」「どれくらい税金がかかるの?」「確定申告はどうやっておこなえば良いの?」など、不安や疑問も多いと思います。
この記事では、「非居住者の不動産売却で源泉徴収が必要かどうか判定する基準」から「非居住者が不動産売却するときにかかる税金と確定申告のやり方」について紹介していきます。
非居住者とは
そもそも、どんな人が非居住者と定義されているのでしょうか。
国税庁のホームページに居住者と非居住者の違いについて紹介されていましたので、参考にしてください。
「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。
引用元: 居住者と非居住者の区分|国税庁
つまり、海外に生活の拠点を置いている、または日本が本拠地ではあるが1年以上、海外に住んでいる人が非居住者となるということです。
非居住者の不動産売却で源泉徴収が必要かどうか判定する基準
非居住者であっても、日本に所有する不動産を売却して利益を得た場合、日本で所得税が課税されます。
ここで注意すべきなのが、売却代金から所得税が源泉徴収されるため、売却代金を全額受け取れないという点です。
非居住者から不動産を購入した人には、売却代金を支払うときに源泉徴収をする義務があります。
非居住者から不動産を購入した人が源泉徴収をする義務があることについては、国税庁の下記の記述を参考にしてください。
非居住者や外国法人から日本国内にある土地等を購入して、その譲渡対価を国内で支払う者は、非居住者等に対して対価を支払う際に、10.21%の税率で、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。
ただし買主が居住するための不動産で、売却代金が1億円以下の場合には、源泉徴収の必要はありません。
下記の図を参考に、源泉徴収されるかどうかチェックしてください。
源泉徴収されない人は、次で紹介する源泉徴収の税率は関係ありませんので、読み飛ばしてください。
源泉徴収される税率は?
非居住者が不動産売却するときの源泉徴収の税率は、10.21%です。
つまり「売却代金×10.21%」が、源泉徴収として売却代金から差し引かれる金額ということになります。
たとえば売却代金が3,000万円だった場合、「3,000万円-(3,000万円×10.21%)=2,693.7万円」が、売主が買主から受け取る金額です。
非居住者が不動産売却するときに源泉徴収されるのは、日本国内における所得の申告漏れを防ぐためです。
すでに外国籍になっている人や外国人についても、源泉徴収の対象になります。
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源泉徴収された税金は、確定申告によって還付を受けられる可能性がありますので、必ず確認してください。
非居住者が不動産売却するときにかかる税金はいくら?
非居住者が不動産売却するときにかかる税金は、譲渡所得税と印紙税、登録免許税の3つで、これらは源泉徴収されるかどうかに関係なく課税されます。
譲渡所得税は、不動産を売却したことで利益が出た場合にのみ課税される税金で、印紙税と登録免許税は、利益に関係なく不動産売却したときに必ず課税される税金です。
いずれも非居住者だからといって特別な税率が用意されているわけではなく、居住者と同様の計算方法で課税額が決まります。
譲渡所得税 | {売却代金-(取得費+売却にかかった費用)-特別控除}×税率 |
---|---|
印紙税 | 売却代金が1,000万以上5,000万円以下の場合1万円 売却代金が5,000万円以上1億円以下の場合3万円 |
登録免許税 | 物件の数×1,000円 |
非居住者であっても、3,000万円特別控除などの特例を受けることができますので、チェックしてみましょう。
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住民税はどうなる?
一般に所得税と住民税はセットで課税されるため、譲渡所得税が課税された場合、住民税はどうなるのかという疑問を抱く人も多いのではないでしょうか。
住民税が課税されるのは、不動産売却をおこなった年の1月1日において日本に住所があった場合になります。
すでに住所がなかった場合には、譲渡所得税が課税されたとしても住民税はかかりません。
非居住者でも特例の適用は受けられる
非居住者であっても、3,000万円特別控除などの特例の適用を受けることができます。
適用を受けるかどうかで納税額は大きく異なりますので、どんな特例が利用できるのか必ずチェックしておきましょう。
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確定申告が必要なケースと申告方法について
不動産所得があった際には、ほとんどのケースで確定申告が必要になります。
非居住者が不動産売却した際に確定申告をおこなうケースは、以下のとおりです。
- 不動産売却で利益があった
- 特別控除の適用を受けたい
- 源泉徴収の還付金を受け取りたい
非居住者の場合、どうやって確定申告をおこなうのかという疑問を抱く人がほとんどだと思いますので、非居住者が確定申告をおこなう方法について解説していきます。
確定申告のやり方
売却した不動産の所有者が非居住者で、本人が確定申告をおこなうのは難しい場合は、納税管理人を定めておき、代わりに確定申告をおこなってもらいます。
確定申告をおこなう時期は2月16日〜3月15日の1ヶ月間と決まっているため、この期間に日本に帰ることができず、確定申告ができないという人も多いのではないでしょうか。
確定申告をおこなわないと無申告加算税や延滞税などのペナルティを受ける可能性がありますので、注意してください。
「海外にいたから確定申告できなかった」というのは通用しません。
また納税管理人の選任は原則、出国前におこないますが、出国後(住民票を抜いた後)になってしまっても届け出をすることはできます。
不動産を売ることになり、確定申告が必要になった場合には、納税管理人を選任するべきかどうか早めに確認しましょう。
納税管理人は誰でも良いのですが、親族などを選任するケースがほとんどです。
選任者が決まったら、「所得税の納税管理人の届出書」を居住地の管轄する税務署に提出してください。
源泉徴収の還付は5年間遡れる
確定申告で還付請求する場合は、5年以内であれば遡って申告することができます。
海外にいて確定申告できず、一時帰国したタイミングで確定申告する人も少なくありません。
5年間のうちに申告すれば良いのですから、申告できず還付金を受け取れなかったとしても諦めないでください。
非居住者が不動産売却するときの必要書類
非居住者が不動産売却時に用意しなければならない書類は、以下のとおりです。
- 在留証明書
- サイン証明書
- 代理権限委任状(契約に立ち会えない場合)
- 身分証明書
- 登記識別情報
- 固定資産税納税通知書
- 評価額証明書
居住者の必要書類と違うのは、在留証明書とサイン証明書、代理権限委任状の3つです。
在留証明書は住民票、サイン証明書は印鑑証明書の代わりになる書類で、海外の在外公館に申請して発行してもらいます。
代理権限委任状は契約に立ちあえる場合は不要ですが、代理人を立てて手続きを進める場合には必須です。
不動産会社にどのような形式で書けば良いか聞き、指示に従って作成しましょう。
非居住者が不動産売却するときの注意点
非居住者が不動産売却するときの注意点は、以下のとおりです。
- 源泉徴収されるかどうか確認する
- 源泉徴収された場合は確定申告によって還付を受ける
- 売主が確定申告できない場合は納税管理人を選任する
- 信頼できる不動産会社に売却依頼する
上の3つについては上述した内容のおさらいになりますので、ここでは「信頼できる不動産会社に売却依頼する」という点について掘り下げていきます。
非居住者が不動産売却する場合、悪徳不動産会社の被害に遭う確率が高くなります。
なぜなら売主が海外にいると、「囲い込み」をしやすくなるからです。
囲い込みとは、自社で買主を見つけて売主と買主の双方から仲介手数料を受け取るために、他社に物件情報を公開しないというもので、悪徳不動産会社の代表的な手口になります。
囲い込みは売主の売却チャンスを著しく阻害するものですので、囲い込みをする悪質な不動産会社には売却依頼するべきではありません。
非居住者が不動産売却する場合、近くで不動産会社の動きをチェックできないため、信頼できる不動産会社選びが非常に重要です。
信頼できる不動産会社を選ぶコツ
信頼できる不動産会社を選ぶコツは、複数の不動産会社を比較することです。
「海外にいながら複数の不動産会社を比べるのは難しい」と感じた人が、ほとんどではないでしょうか。
確かに、何社も不動産会社をまわって話を聞くのは難しいと思います。
しかしネット上で物件情報を入力するだけで複数社に査定依頼できる不動産一括査定サイトを利用すれば、海外にいても比較したうえで選ぶことが可能です。
不動産会社選びに失敗したくなければ、不動産一括査定サイトを利用して複数社に査定依頼し、信頼できる会社を選びましょう。
海外にいながら日本にある不動産を売るのは不安だと思いますが、信頼できる不動産会社選びができれば不安を感じることもなくなると思います。
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管理人からの一言「非居住者の不動産売却は仲介業者選びが重要」
分からないことだらけの不動産売却で、しかも海外からとなると不安も相当大きいのではないでしょうか。
不安を解消してくれる誠実で優秀な不動産会社を探すことが、非居住者による不動産売却を成功させる近道になります。
業者選びだけは絶対に妥協せず、納得のいくものにしてください。
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