不動産会社から「買付が入りましたよ」と言われたら、買主から購入申込書が入ったということになります。
購入申込書は、買付証明書や買受証明書とも呼ばれており、これが入ったということは物件を気に入り、「買いたい」という人が現れたということです。
いよいよ売買契約のチャンスが巡ってきた、と気持ちが高まると思いますが、購入申込書はあくまでも買主の買いたいという意思表示であって法的効力はありません。
購入申込書が入った後の、値引き交渉からマンション売買契約の締結までが重要になりますので、気を抜かずに進めていきましょう。
この記事では、「購入申込書が入ってから売買契約までの流れ」から「値引き交渉への対応のコツ」、「購入申込書のチェックポイントと注意点」について紹介していきます。
不動産購入申込書を受け取ってからの流れ
買主から不動産購入申込書が入った時点で値引き交渉が始まっていますので、「購入希望者が現れた」と浮かれていてはいけません。
マンション売却では買主から不動産購入申込書が入ってから売買契約合意まで、たった数日で完了することがほとんどですので、慌てずに手続きに進めるようあらかじめ流れについて把握しておきましょう。
1.買主から購入申込書が入る
マンション売却の活動を始めてから内覧会の対応をすると思いますが、内覧の際に物件を気に入って購入したいという人がいた場合、買主から購入申込書が入ります。
購入申込書を入れてきた相手にマンションを売却しても良いと思えば、売渡承諾書を渡します。
もしも同時に何人かから購入申込書が入った場合、後述する「購入申込書のチェックポイントと注意点」を参考に、買付け条件を比較したうえで交渉に入りましょう。
2.売買契約締結に向けて具体的な価格交渉をおこなう
不動産購入申込書の内容を確認したら、売買契約締結に向けて条件交渉をおこなっていきます。
条件交渉とは、買付け交渉とも呼ばれ、引き渡し日や値引き額の決定をおこなうことをいいます。
買付け交渉の例
たとえば売主の売却希望価格3,000万円に対して、物件の状態からリフォームが必要であることや資金調達に問題がないことを理由に、買主から2,700万円で購入したいと申し込まれたとします。
売主は値引きの根拠を踏まえたうえで2,850万円までなら譲渡できると返答し、その後、買主から2,800万円まで譲渡してもらえないかという要求があり、売主も納得することができれば最終的な合意となります。
3.いよいよマンション売買契約の締結
買主との値引き交渉が終わると、いよいよマンション売買契約の締結へと進みます。
買主から購入申込書が入ってから売買契約締結までは、お互いの気持ちが冷めないようにスピーディに進められるのです。
値引き交渉に上手く対応してマンションをできるだけ高く売るコツ
買主との値引き交渉に上手く対応してマンションをできるだけ高く売るコツは、以下の6つです。
- 値引き交渉に応じる姿勢を見せる
- 売却する物件の相場価格を知っておく
- 必ずしも売主が下手に出る必要はない
- 値下げの根拠が妥当かどうか見極める
- 売却希望額と購入希望額の中間辺りで妥協点を探る
- 値下げできる最低ラインを決めておく
マンション売却に値引き交渉はつきものですので、売却希望価格よりも多少値下がりするのは仕方ありませんが、1円でも高く売りたいというのが売主側の本音なはずです。
金額の大きいマンション売却では、値引き交渉への対応次第で100万円以上の差がでる可能性がありますので、買主と上手く交渉するコツについて心得ておきましょう。
売主ができるだけ高く売却したいと思っている一方で、買主は可能な限り安く購入したいと思っていますので、値下げ交渉の対応にはコツが必要なのです。
交渉がスムーズに進まなかったときは次の買い手が現れるのを待つのも一つですが、必ずしも買い手が現れるとは限りませんので、見極めが重要になります。
購入申込書が入ったときの注意点
マンション売却で購入申込書が入ったときに必ず確認するべきチェックポイントは、購入希望額と手付金の額、また購入希望時期の3つです。
購入申込書が入った際、購入希望額ばかりに目が行きがちですが、手付金の額と購入希望時期についてもしっかりと確認しておくことで後々のトラブルを防ぐことができます。
購入希望額とその根拠は妥当かどうか
マンション売却で購入申込書を受け取った際、誰もが真っ先にチェックする項目だと思いますが、買主がいくらで申し込みを入れてきているのか確認します。
売主が希望する売買代金の額で申し込まれるケースは少なく、値引きした金額で申し込みが入ることがほとんどですので必ずチェックし、それに対して譲渡できるのか検討します。
買付けが入ったら購入希望額だけでなく、その根拠が妥当かどうかしっかりと見極めましょう。
手付金の額が安すぎるとキャンセルされやすい
購入申込書の2つ目のチェックポイントは、手付金の額の設定が低すぎないかどうかです。
マンション売買における手付金の目安は売買代金の10%ですが、実際のところ明確なルールは定められておらず、買主と売主で好きに決めて良いことになっています。
売買代金に対して3%で設定したとしても、20%で設定したとしても、双方が納得していれば問題ないということです。
しかし手付金の額が少ないと、買主に「やっぱり購入をやめます」と言われる確率が高くなります。
買主は手付放棄すれば契約を解除することができるので、もっと好条件の物件が見つかったら簡単にキャンセルされてしまうのです。
買付けから購入希望日までの期間が長すぎないか
購入申込書には買主が売買契約を締結させたい希望日が記載されていますので、注視してください。
人は高額な買い物をする際、漠然とした不安を抱えています。
買うと決めてから時間が経てば経つほど「本当に購入していいのかな」、「もっと好条件の物件が見つかるかもしれない」、「そもそも今買わなくてもいいのでは」と、マンション購入に対して後ろ向きになっていく傾向にあるのです。
買付けから2〜3日、遅くても1週間以内には売買契約を結ぶと良いでしょう。
ただしホームインスペクションを実施する日程を確保するために、買付けから間隔をあけている場合もあります。
買主に満足して買ってもらいたいと思えばホームインスペクションを承諾し、契約を結ぶのも一つです。
不動産購入申込書の効力は?
マンション売却における不動産購入申込書は売買の可能性を表明したものであり、確定的な意思表示ではなく、契約申込みとして法的効力は認められないとされています。
また購入申込書に対して売主が買主に渡す売渡承諾書も、購入申込書と同様に法的効力はありません。
そのため購入申込書、売渡承諾書はいずれも撤回が随時可能なものとして取り扱われています。
契約締結上の過失責任が認められた場合、契約成立のために使った調査費用などの賠償を請求できます。
ただし売主がキャンセルした場合も同様の扱いをされますので、交渉がまとまった後にキャンセルすると賠償責任を問われる可能性があるという点に注意してください。
買付証明書に有効期限はある?
買付証明書の有効期限は売主と買主で決めることができ、一般的には1〜2週間に設定されることがほとんどです。
ただし有効期限についても法的効力はありませんので、有効期限内にキャンセルが発生することも十分に考えられます。
必ずしも申込順番が早い人と契約しなくても良い
申込み順番は、あくまでも交渉順と考えると良いでしょう。
最初に購入申込書を入れてくれた人に申し訳なく思う人もいるかもしれませんが、原則として購入申込書、売渡承諾書の受け渡しがあったとしても、正式に売買契約を取り交わすまでは売買契約が成立していないため、いつでもキャンセルできます。
ただし「他に○○円で購入希望している人がいるので、そちらと契約しても良いですか」と一言伝え、交渉することも高く売却するコツです。
どうしても買いたいという人は、提示した金額以上のお金を出すかもしれません。上手に交渉を進めましょう。
管理人からの一言「購入申込書が入ったからといって気を抜かない」
マンション売却で購入申込書が入ったときというのは、非常に嬉しい瞬間です。
しかし購入申込書は法的効力を持ちませんので、マンション売買契約を結び、物件を引き渡すまで気を抜かずに取り組みましょう。
マンション売却の全体的な流れについては、下記の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
マンション売却の流れ|売る時の注意点や税金まで徹底解説!【3分で分かる動画つき】
マンション売却の流れや注意点、税金について初心者にもわかりやすく解説しています。大切な資産を売るのですから、基礎知識はもちろん、損をしない売却方法についても知っておくべきです。失敗したくない!できるだけ高く売りたい!という人はぜひ参考にしてください。
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