住んでいたマンションから引っ越すことが決まると、以下のような悩みや疑問が出てくるのではないでしょうか。
- 完全に手放すことになる売却で、後悔しないか?
- 賃貸にして家賃収入を得たほうがいいのでは?
- 売却と賃貸のどっちを選ぶべきか、どうやって判断すればいいの?
結論から言いますと、住宅用につくられたマンションは賃貸に出しても利回りが悪いため、売却するのがベストです。
とはいえ、人それぞれ様々な事情があるでしょう。
この記事では、状況に応じた適切な選択について、わかりやすく解説していきます。
間違った選択をして損をしてしまう人も多い問題ですので、リスクなども考慮して後悔のない選択をしましょう。
マンションを売却するか賃貸にするか迷っている人必見!どっちがお得か徹底比較
冒頭でも述べたとおり、住んでいたマンションは売却するのがベストです。
また家賃収入を得られることが賃貸にする最大のメリットにもかかわらず、居住用マンションは利回りがあまり良くないというデメリットもあります。
どうしても手放したくない理由があれば別ですが、投資を始めたいのであれば、マンションを売却したお金で新たに投資用物件を購入した方がよいでしょう。
投資という訳ではなく、将来戻ってこれるように所有しておきたいという場合でも、リスクがあることは十分に考慮しなければなりません。
マンションの売却と賃貸のそれぞれのメリットとデメリットをまとめましたので、どっちがお得か比較してみましょう。
売却するメリットとデメリットは?
居住用のマンションを賃貸にしてもあまりメリットがないと説明しましたが、では売却することにメリットはあるのか気になりますよね。
マンションを綺麗さっぱり売却するメリットは、主に金銭面におけるものになります。
持ち家を売却する3つのメリット
- まとまったお金が手に入る
- ランニングコストがかからない
- 税制優遇によって売却代金に税金がかからない
持ち家を売却する最大のメリットは、まとまったお金を手にできる点です。
受け取れる金額が明確なので資金計画が立てやすく、新居の購入資金にすることもできます。
またマンション売却時に利用できる税制優遇が揃っている今のうちに売却すれば、税負担を減らせる利点もあります。
マンション売却時に利用できる特例や控除については、以下の記事で解説していますので合わせてご覧ください。
この記事では、マンションを売却したときに控除が受けられる特例や減税についてまとめました。マイホーム売却時に使える「居住用財産を譲渡した場合の3 000万円の特別控除の特例」や「居住用財産の買換え特例」など、これらを知っておくことで確定申告が正しくおこなえます。
デメリットは再び住むのは難しいこと
マンションを売却することにも、当然デメリットはあります。
それは一度手放してしまうと、再び住むのは難しくなるということです。
次の所有者がマンションを売りに出せば買い戻すことができるかもしれませんが、タイミングが合うとは限りませんし、そのような事例はあまり聞きません。
思い入れがあったとしても、売却するのであれば完全に手放す覚悟を決めましょう。
賃貸はメリットよりもデメリットが上回る
賃貸にすることにもメリットはありますが、デメリットの方が上回ります。
それぞれ解説していきますので参考にしてください。
賃貸のメリットは所有権を持ったまま収入を得られること
賃貸にしておくメリットは、所有権を持ったまま家賃収入を得られるという点です。
成功すれば、不労所得で生活費をまかなえる可能性もあります。
所有権は移動しないので、自分で再び住むことも可能。
どうしても手放したくない理由がある人は、賃貸にしておけば家賃収入を得ながら将来の住処を確保できます。
思い入れのあるマンションを手放すことに躊躇する気持ちもあるかもしれませんが、必ずどのくらいの家賃収入が得られるのか把握したうえで判断してください。
持ち家を賃貸にする6つのデメリット
賃貸にすることによるデメリットは、以下の6つです。
- 継続的に収入を得られるとは限らない(空室になる可能性もある)
- 劣化して物件の価値がなくなる
- トラブルが発生したら対応しなければならない
- 固定資産税や修繕費などのランニングコストがかかる
- 確定申告などの手間がかかる
- 不動産所得に税金がかかる
上述したように、賃貸にしたからといって必ずしも安定した家賃収入を得られるとは限りません。
トラブルが発生すれば遠方にいたとしても対応しなければなりませんし、固定資産税などのランニングコストはかかり続けます。
また、賃借人が大切に住んでくれない可能性があることも考慮しなければなりません。
将来、自分が住むために所有権を手放したくなかったという人でも、賃貸後の物件の状態をみて結局手放す人も珍しくありません。
以下の女性のように、住むことにしたもののリフォーム代にかなりの費用がかかってしまったという人もいます。
50代・女性の口コミ
壁紙やキッチンなどが汚されていたのが気持ち悪くてリフォームしたので、費用がかなりかさんでしまった。
後述でマンションを賃貸にするリスクについても解説していきますが、売却よりもデメリットが多いのは一目瞭然です。
同時査定してどちらにするか決めるのも一つの方法
マンションを売ったとき、貸したときの見積もり金額を把握していない人は、不動産会社に査定依頼して相場を調べましょう。
相場を調べずに売却と賃貸のどちらにしようか悩んでいても、適切な判断はできません。
不動産一括査定サイトを利用すれば、わざわざ一社ずつ査定依頼しなくていいので効率的に相場を調べられます。
物件の基本情報を入力するだけで、複数社から見積もりを送ってもらえるサービス。
しつこい勧誘がないイエウールなら、査定依頼したからといって売却を迫られることはないので安心して利用できます。
また同時に賃料査定をおこなってくれるマンションナビなら、売却と賃貸に出した場合の相場をどちらも把握できて比較しやすいのでおすすめです。
ただし賃貸業と仲介業を両方おこなっている不動産会社よりも、売却に特化している不動産会社のほうが売却代金が高くなる傾向にあります。
- しつこい勧誘なしでマンションの最高売却価格を調べるならイエウール
- 同時に賃料も知りたいならマンションナビ
【状況別】マンションを売却した方がよい5つのケース
賃貸のメリットについて解説した際に、どうしても手放したくない理由がある人は賃貸でもよいと言いました。
しかし状況によっては、売却したほうが良いことが明確なケースもあります。
- オーバーローンになってしまうケース
- 都心などで立地条件がいいケース
- 売却物件がタワーマンションの場合
- 転勤や相続、離婚によって引っ越す場合
- 老人ホームに入居する場合
それぞれ詳しく解説していきますので、参考にしてください。
オーバーローンなら任意売却しよう
マンションの売却代金よりも住宅ローン残債のほうが上回る状況のことをオーバーローンと言います。
「家賃収入によって住宅ローンを返済していけばいいのでは?」と考える人もいますが、安定した収益を得られるとは限らないという点を忘れてはいけません。
もしも空室になって収益がゼロになり、住宅ローンの返済ができなくなってしまえば、マンションは差し押さえられて競売にかけられます。
通常の方法では売却できませんが、任意売却でなら住宅ローンが残っていてもマンションを売ることができますので検討してみてください。
任意売却の流れは?デメリットからベストな相談先まで徹底解説!
不動産の任意売却とは?手続きの流れやメリット・デメリットを初心者にもわかりやすく解説しています。相談先や手順を間違えてしまうと、本来なら任意売却できたにもかかわらず、競売にかけられてしまう場合がありますので注意してください。
都心など好立地にあるなら競合物件があらわれる前に高値売却を狙おう
都心などの立地条件がよい場所には、新築マンションが次々に建設されていきます。
SUUMOの公式ホームページによると、東京都に建築予定のマンションの数はなんと98件。
不動産は築年数によって価値が大きく左右されるため、同じ地域に新築マンションが建設されてしまえば、物件の価格を下げざるをえなくなります。
競合物件が建設されて価値が下がる前に、できるだけ早く売却することをおすすめします。
タワーマンションは借り手が現れにくい
価格が高く、富裕層がターゲットになるタワーマンションは、賃貸にしても借り手が現れにくい特徴があります。
借り手が現れにくい理由は、以下のとおり。
- 家賃が高く、庶民には手が出せないから
- 家賃を払える富裕層は、賃貸ではなく持ち家を選ぶ傾向にあるから
タワーマンションを賃貸に出しても需要が少ないため、売却した方がよいということです。
タワーマンションは売れない?低層階でも売却できる4つのコツと注意点
タワーマンションは売れない?低層階でも売却できる4つのコツと注意点を紹介します。売り方を間違えると、数百万円もの損をする可能性があります。どうしたら売れるのか、しっかりと知識を身につけておきましょう。
転勤や離婚時に物件を残しておくとトラブルの元になる
転勤や離婚などによって引っ越す場合、マンションを賃貸にして残しておくとトラブルに繋がりやすくなります。
転勤の場合、上述でも紹介したとおり物件に何かあった時にすぐに対応することができず、トラブルを悪化させる可能性があります。
半年〜1年程度で確実に戻ってくるのであれば賃貸にしてもいいかもしれませんが、基本的にはリスクがつきまとうのでおすすめできません。
海外赴任・転勤になったらマンションはどうする?売るべき?貸すべき?
海外赴任のとき購入したマンションはどうする?売却?賃貸?空き家なら電気は必要ない?この記事では海外転勤で持ち家を貸すときの税金や固定資産税の納め方についても紹介しています。
離婚の場合は、上述で紹介したリスクの他にも、財産分与という問題がでてきます。
家賃収入がどちらの財産になるのか、どのように分けるのかなど、考えなくてはならない問題が増えます。
離婚問題を早く片付けたいのであれば、きれいさっぱり売却した方がよいでしょう。
離婚したらマンションは売却と賃貸どっちがいい?住宅ローン残債が売却価格を上回るオーバーローンでもきれいに清算できる任意売却についても紹介しています。財産分与や養育費の問題は深刻化するため、できるだけ早く円満に家の問題を解決する方法を知っておきましょう。
相続した物件は換価分割するのが最善
相続したマンションは、売却した代金を相続人で分ける換価分割をおこなうのが最善です。
相続人の意見がなかなかまとまらず、空き家にしておくのが勿体無いからといって賃貸にしてしまうと、問題を複雑化させますので注意してください。
老人ホームに入居してマンションを空き家にするのは良くない
老人ホームに入居することになり、マンションが空き家になってしまう場合も、売却した方がよいケースになります。
売却した方がよい理由は、3つあります。
理由1:費用問題
1つ目の理由は老人ホームの居住費と合わせて、マンションにかかる固定資産税や修繕積立金などを毎月支払っていくのは大変だからです。
いつまで老人ホームで暮らすかわからない状況で、支払わなければならない費用はできるだけ減らしておいた方が賢明でしょう。
理由2:管理問題
2つ目の理由には、物件は空き家になると一気に劣化し、住める状況ではなくなってしまうという点が挙げられます。
子供たちが管理していけるのであればいいですが、期間が長くなれば相当の負担になるため、現実的ではありません。
理由3:認知症のリスク
万が一、認知症になってしまうとマンションを売ることも、貸すこともできなくなります。
本人に判断能力がない状態では、売買契約や賃貸契約を交わすことはできないからです。
認知証になった親の不動産を売却するにはどうすればよいのでしょうか。この記事では、後見人が不動産取引する方法について紹介しています。司法書士による売主の意思確認ができない場合、売買契約は無効になります。診断書をもらい裁判所の許可を得たうえで不動産売買しましょう。
では改めて、マンションを賃貸にすることのリスクについて解説していきます。
マンションを賃貸に出すことにはリスクがつきもの
損をしたり、トラブルに巻き込まれたりするリスクを承知の上で、どうしてもマンションを手放したくないという人もいると思います。
お金では解決できない問題だと思いますので、当然その判断を尊重します。
ただし持ち家を貸すことにはどのようなリスクがあるのかについては、あらかじめ把握しておきましょう。
空室リスク | 家賃収入がゼロになるリスク |
---|---|
災害リスク | 災害によって物件が損傷を受け、賃貸にできる状態ではなくなるリスク |
物件価値の下落リスク | 物件の価値がなくなって家賃を下げざるを得なくなるリスク |
実際に上記のことが起こっても対応できるように、リスク管理はしっかりとおこなってください。
また、これら以外にも留意しておきたい点がありますので、紹介していきます。
- 一度、人に貸すと売れづらくなる
- 税金の負担が増える
- 毎年、確定申告をしなければならない
- 物件の管理をしなければならない&ランニングコストがかかる
賃貸後は売却しづらくなる
持ち家を賃貸に出してしまうと、その後売却するのが難しくなります。
人に貸すとマンションが売れづらくなる理由は、以下のとおり。
賃借人によって部屋を汚されてしまう
マンションの持ち主と借りているだけの人では、物件に対する気持ちに差が生じます。
賃借人が物件を大切に扱ってくれるとは限らず、汚れて返ってくることも珍しくありません。
経年劣化によって価値が下がる
不動産は、築年数が古いというだけで高く売れなくなります。
そのため賃貸に出す期間のぶん、価値は下がっていくと思った方がよいでしょう。
賃借人がいると売却のハードルが高くなる
もしも途中で状況が変わってマンションを売却したくなった場合、賃借人を追い出すわけにはいかないため、オーナーチェンジ物件として売り出さなければなりません。
よっぽど利回りがよい優良物件でなければ、新たにオーナーになってくれる人を探すのは至難の技です。
税金の負担が増える
持ち家を賃貸にして得た収益(不動産所得)は、総合課税として他の所得と合算して税金が課せられます。
売却すれば3,000万円の特別控除などの税制優遇によって税金を0円にすることもできますが、賃貸にすると毎年払わなければならない税金が増えるということです。
毎年、確定申告をしなければならない
家賃収入がある人は、確定申告をおこなう必要があります。
確定申告をしないと脱税とみなされてしまいますので、注意してください。
また、少しでも税負担を減らすために青色申告をおこなう場合は、さらに帳簿をつけるなどの手間も増えます。
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物件の管理をしなければならない
マンションを賃貸に出したとしても、所有者であるということには変わりないため、何かあれば対応しなければなりません。
物件設備が故障したときや賃借人が近隣トラブルを起こしたときなど、マンションに帰ってきて対応できるのかどうかも考えておきましょう。
マンションの賃貸を成功させたい人は、下記の記事も合わせてご覧ください。
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管理人からの一言「マンションは売却した方がよいケースがほとんど」
この記事を簡潔にまとめると、以下のようになります。
- 基本的には売却した方がよい
- 損をしてでも家を手放したくない人は賃貸にするのもあり
- オーバーローンになる場合や好立地にある物件、タワーマンションは賃貸にするリスクが高い
- 転勤や離婚、相続による引っ越しなら売却しておかないとトラブルが複雑化する
結論、マンションは賃貸にするよりも売却した方がよいと言えます。
まずは、物件がいくらで売れるのか把握しておきましょう。
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