不動産売却をすると、扶養から外れてしまうケースがあることをご存知でしょうか。
現在、夫の扶養に入っている人からすると、扶養から外されることによって損をしてしまう可能性があるため、非常に気になる点だと思います。
相続などで不動産を取得し、売却しようと考えている専業主婦は要チェックです。
この記事では「不動産売却によって扶養から外れるケース」から「扶養から外れたことによる影響」について紹介していきますので、参考にしてください。
不動産売却によって扶養から外れるのはどんなとき?
扶養から外れないように、勤務時間を調整しながら働いている人は多いと思います。
しかし相続などによって取得した不動産を売却する場合、扶養から外れる可能性がありますので注意しなければなりません。
扶養から外れてしまうケースは、譲渡所得(利益)が生じたときです。
譲渡所得は、以下の計算式で算出します。
取得費は不動産の購入代金のことで、減価償却したものを当てはめます。
減価償却の計算式は、以下のとおりです。
建物の取得費 = 購入代金 – 減価償却相当額
木造の償却率は0.031、鉄骨鉄筋コンクリート造は0.015です。
経過年数は、相続してからではなく、被相続人が不動産を購入した時期から数えてください。
また相続した不動産は、取得費がわからないことも少なくありません。
その場合は「売却代金×5%」を取得費とすることができますが、譲渡所得が高額になってしまうため、取得費がわかる資料を探し出すことをおすすめします。
「売買契約書が見当たらなくて取得費がわからない!」という人は、下記の記事も合わせてご覧ください。
この記事では、不動産売買契約書を紛失していたときの対応方法について紹介しています。売買契約書が無い場合、住宅ローンの借り換えや不動産売却時の確定申告で不利益を被る可能性がありますので、再発行できるよう努力することが重要です。
上記の計算式で譲渡所得がなかった場合は、扶養から外れることはありませんので安心してください。
譲渡所得があった人は、扶養から外れる可能性があります。
いくら譲渡所得があると扶養から外れてしまうのか、確認していきましょう。
譲渡所得の計算方法については、下記の記事で具体例を用いて詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
短期譲渡所得税と長期譲渡所得税の違いは?計算方法をわかりやすく解説!
短期譲渡所得と長期譲渡所得の違いや計算方法について解説しています。具体例を用いてシュミレーションもおこなっていますので、はじめて不動産売却するという人でもわかりやすいと思います。特別控除についても紹介していますので、できるだけ節税したいという人は必見です。
配偶者控除から外れるボーダーラインは「38万円」
給与所得のみの場合は103万円以下であれば扶養内として扱われますが、その他に収入がある場合には、合計金額が38万円までとなっています。
つまりパートで稼いだ収入と不動産売却による利益を合算して38万円を超える場合は、夫の扶養から外れてしまうということです。
扶養から外れるのは1年間のみ
不動産売却で譲渡所得が生じたことによって扶養から外れてしまったとしても、翌年からは扶養に戻ることができますので安心してください。
不動産売却をした翌年の1年間、扶養から外れるかどうか知っておきたい場合、まずは売却代金がいくらになるか把握しておく必要があります。
不動産がいくらで売れるのか、また利益は生じるのかについては、不動産一括査定サイトを利用すれば簡単に調べることができます。
不動産一括査定サイトとは、ネット上で物件情報を入力するだけで複数社にまとめて査定依頼できる便利ツールです。
最近では本などでも紹介されているため、知っている人も多いのではないでしょうか。
わざわざ不動産会社の事務所に出向く必要がなく、空き時間に査定依頼できるため、忙しい現代人にとって非常に便利であり、利用者が年々増えているサービスです。
不動産一括査定サイトについては、下記の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
不動産一括査定サイト大手12社を徹底比較!おすすめサイトから選び方まで解説
不動産一括査定サイトを利用すれば、物件がいくらで売却できるか効率的に調べられるだけでなく、質の良い不動産会社にも出会えます。できるだけ好条件で売るためには、サイト選びが重要。不動産のプロである管理人が、おすすめのサイトと選び方のポイントを解説していきます。
扶養から外れても「配偶者特別控除」の範囲内なら所得控除が受けられる
扶養から外れて配偶者控除の適用を受けられなくなってしまったとしても、配偶者特別控除の範囲内であれば所得控除を受けられますので、チェックしておきましょう。
夫の年収が900万円以下の場合
配偶者の合計所得金額 控除額 38万円超85万円以下 38万円 85万円超90万円以下 36万円 90万円超95万円以下 31万円 95万円超100万円以下 26万円 100万円超105万円以下 21万円 105万円超110万円以下 16万円 110万円超115万円以下 11万円 115万円超120万円以下 6万円 120万円超123万円以下 3万円 引用元: 配偶者特別控除|国税庁
夫の年収が900万円を超える場合は、上記よりも控除額が少なくなりますので注意してください。
また夫の年収が1,000万円を超える場合は、配偶者特別控除の適用はありません。
(上記は、平成30年におこなわれた税制改正を反映させた内容になっています。)
扶養から外れるとどんな影響がある?【税金・健康保険】
不動産売却によって扶養から外れてしまった場合、どんな影響があるのか不安に感じると思います。
扶養から外れた場合、以下のような影響があります。
- 夫の税負担(所得税・住民税)が増える
- 国民健康保険料の支払い義務が生じる
夫の税負担(所得税・住民税)が増える
妻が扶養から外れると、夫に課税される所得税と住民税が増えます。
今まで控除されていた部分に対しても所得税が課せられ、給料から差し引かれるため、夫の手取りが減ってしまいます。
国民健康保険料の支払い義務が生じる
不動産売却によって利益を得た場合、免除されていた国民健康保険料を妻自身で支払わなければならなくなります。
ただし国民健康保険料は、「3,000万円の特別控除」の適用後の所得金額で決まります。
3,000万円の特別控除とは、譲渡所得を最大3,000万円までなかったことにしてもらえる特例です。
つまり上記で計算した譲渡所得が、3,000万円までなら国民健康保険料の支払い義務が生じることはないということです。
3,000万円の特別控除は、不動産売却時に課税される譲渡所得税を節約することができるもので、不動産売却をする場合には必ず知っておいたほうが良い特例になります。
3,000万円の特別控除について知らない人は、詳しく解説している下記の記事も合わせてご覧ください。
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3,000万円特別控除を初心者にもわかりやすく解説しています。適用条件や確定申告の必要書類、相続した住宅や空き家の場合はどうなるのかについても詳しく紹介していますので参考にしてください。ただし住宅ローン控除のほうがお得になるケースもありますので注意が必要です。
専業主婦でも譲渡所得があったら確定申告をおこなう必要がある
不動産売却をおこなって譲渡所得が生じたら、専業主婦であっても確定申告をおこなわなければなりません。
確定申告の時期は、不動産を売却した翌年の2月16日から3月15日です。
申告漏れがあるとペナルティを課せられてしまう可能性がありますので、忘れずに申告しましょう。
譲渡所得がなかった場合は確定申告をしなくても問題ありませんが、3,000万円の特別控除を利用したい場合は、確定申告をおこなうことが適用条件となっています。
不動産を売却したときの確定申告については、下記の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
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管理人からの一言「不動産売却で利益が生じた場合は扶養から外れる」
不動産売却によって利益が生じた場合、扶養から外れてしまう場合があります。
親から相続した大切な資産ですし、どうせ扶養から外れてしまうのであれば、できるだけ高く売却できるように努力したほうが賢明だと思います。
不動産売却をおこなう前に知っておきたいノウハウについてまとめている、下記の記事も合わせてご覧ください。
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