「田舎にある不動産を売りたい」という人と「田舎暮らしをしたい」という人をつなげるためにできたのが、空き家バンクです。
全国にある自治体のほとんどが空き家バンクを開設、または開設準備をはじめているため、耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
とはいえ、いざ空き家バンクで不動産を売りたいと思っても、「空き家バンクの利用方法がわからない」「空き家バンクで売るメリットって何?」という疑問を抱く人も多いと思います。
この記事では、「空き家バンクを利用するメリット・デメリット」から「空き家バンクの利用方法」「空き家バンク利用者の成功例とトラブル事例」について紹介していきますので参考にしてください。
空き家バンクとはどんな制度?
空き家バンクとは、深刻化する空き家問題を解決するために国がはじめた制度です。
各自治体のホームページで空き家情報を公開し、空き家の所有者と田舎に住みたいという人をマッチングする支援をおこなっています。
空き家バンクの仕組み
空き家バンクの取り組みには国土交通省のバックアップしており、全国の空き家の情報を集めたサイトも運営されています。
国土交通省のホームページに、空き家バンクに対する取り組みが分かる記載がありましたので参考にしてください。
国土交通省では空き家・空き地等の流通活性化に向けた取り組みを行っております。
平成29年度は「全国版空き家・空き地バンクの構築」と「地域の空き家等の流通モデルの構築」を実施し、
平成30年度は「地域の空き家等の流通モデルの構築」について、引き続き実施して参ります。
空き家バンクが開設された背景には、空き家対策特別措置法が制定されたことがあります。
より理解を深めたい人は、下記の記事も合わせてご覧ください。
空き家対策特別措置法とは?空き家所有者にどんな影響があるか徹底解説!
空き家対策特別措置法とは?ガイドライン策定によってどんな効果が見込めるのか、空き家所有者にどんな影響があるのか解説しています。固定資産税や補助金、条例の問題点、どんなケースで行政代執行がおこなわれるのかについても紹介していますので参考にしてください。
空き家バンクを利用するメリットとデメリット
不動産の売却は人生で一度あるかないかのことですので、空き家バンクのことをしっかりと理解している人はほとんどいないと思います。
空き家バンク制度を利用するメリットとデメリットを紹介していきますので、利用する前に確認しておきましょう。
空き家バンクで家を売却するメリット
空き家バンクを利用するメリットは、補助金や助成金が受け取れるという点と、無料で物件情報を発信できるという点です。
補助金や助成金が受け取れる
自治体によって内容は少しずつ異なりますが、ほとんどの自治体で補助金や助成金の提供をおこなっています。
改修費用の一部を負担してもらえる「リフォーム助成」がその一例です。
売却物件のある地域の自治体がどんな支援をおこなっているか調べて、利用できるものは積極的に利用しましょう。
ただし改修工事などをおこなう前に申請しないと、適用されませんので注意してください。
無料で物件情報を発信できる
空き家バンクへの登録は無料のため、お金をかけずに物件情報を発信できます。
具体的な広告活動は、以下のとおりです。
- 民間の不動産情報サイトへのリンク
- 雑誌広告・バナーなどの宣伝
- 移住・交流者と地域住民の交流会
- 内覧写真や近隣情報の掲載など、物件情報の充実
自治体によって広告活動の内容に差はありますが、成約件数の多いところでは上記のような取り組みをおこなっています。
対象となる自治体がどんな広告活動をおこなっているか、チェックしてみましょう。
空き家バンクで自宅を売るデメリット
空き家バンクで自宅を売るデメリットは、宅建業者を通さない場合トラブルになりやすいという点と、浸透していない地域もあるという点です。
宅建業者を通さない場合トラブルになりやすい
空き家バンクで自宅を売る人の中には、宅建業者を仲介せずに直接、買主と売買契約をおこなう人がいますが、トラブルになりやすいというデメリットがあります。
確かに、宅建業者を通さなければ仲介手数料を支払う必要がないため、お金を節約することはできます。
しかしトラブルに発展してしまえば、せっかく「買いたい」という人が現れたにもかかわらず、不本意な結果となってしまいます。
最悪の場合、売買契約自体なかったことになってしまうかもしれません。
一般的に支払う仲介手数料は「売却代金×3%+6万円」ですが、その中には買主を探すためにかかる広告活動費や人件費が含まれています。
空き家バンクで買主を見つけるのであれば、割引してもらえる可能性が高いため、交渉してみると良いでしょう。
浸透していない地域もある
空き家バンクを実施する自治体は増えていますが、まだまだ浸透しているとはいえない地域もあります。
どうしても「家は不動産屋にいって探すもの」というイメージが強いため、空き家バンクの存在が知られていなければ、売却チャンスは著しく少なくなってしまいます。
空き家情報バンクの取り組みに力を入れている自治体なら問題ありませんので、役所にいって、これまでの取引実績などを教えてもらってください。
市町村の空き家情報バンクに登録して不動産を売却する方法
空き家バンクを利用したいと思ったらどうすれば良いのか、解説していきます。
物件情報の登録から売却するまでの流れは、以下の通りです。
空き家情報バンクに登録申請する
市役所にいくと、空き家情報バンクへ登録するために必要な「登録申込書」と「登録カード」がありますので、記入して担当部署に提出します。
登録申請をおこなうと、市の担当者と宅建業者が空き家の状況を見に来ます。
仲介をする宅建業者と媒介契約を結ぶ
現地調査が終わったら、宅建業者と媒介契約を結びます。
自治体がおこなうのはマッチングまでなので、入居希望者が見つかったら、宅建業者を通して売買取引をおこなうことになります。
当事者同士で直接、取引をおこなうこともできますが、トラブルに発展するリスクが高いため、宅建業者に仲介してもらうのがベターです。
自治体のホームページに物件が掲載される
空き家情報バンクへの登録申請が通ると、自治体のホームページに物件が掲載されます。
入居希望者から連絡があるのを待ちましょう。
空き家バンクに掲載される情報は、以下のとおりです。
- 所在地
- 売却希望価格
- 構造や面積
- 築年数
- 設備状況
- 間取り
- 写真 など
入居希望者と売買契約を締結する
入居希望者が現れたら、宅建業者を通して売買契約を締結します。
売買契約を締結する前に入居希望者と空き家所有者、地域住民の3者で面談をおこなっている自治体もあります。
【成功例】自治体の空き家バンクを利用した人の口コミ
自治体の空き家バンクを利用して自宅の売却を成功させた人の口コミを紹介していきますので、参考にしてください。
住める状態ではなかった空き家を買主が助成金を使ってリフォームしてくれた
入居者がリフォーム費用の助成金制度を利用することを前提に、購入を検討してもらえた例です。
DIYの人気が高まったことによって、「自分好みにリフォームして住みたい」というニーズも年々高まっています。
買主にとって空き家の購入は安価であるというメリットだけでなく、国からの支援によって自己負担が減らせるので、自治体がしっかりと活動をおこなえば空き家バンクはどんどん発展していくと思います。
最近では、IターンやJターンを推進する自治体が増えており、転入者向けにさまざまな助成をおこなっているところも少なくありません。
転入者向けの助成金制度には、以下のようなものがあります。
- 購入費用の助成
- 引越し費用の助成
- 仲介手数料の助成
- リフォーム費用の助成
- 家財道具の処分費用の助成
入居者に対する助成制度が充実している自治体は利用者が増えるため、成功する確率も高くなります。
Jターン…進学や就職によって地方から都会に移住後、出身地近くに戻ること
受け入れ体制ができていたから選んでもらえた
空き家情報バンクに登録されている物件は、すぐに住める状態ではない場合も少なくありません。
住まいを探している人からすれば、「できるだけ早く入居したい」というのが本音です。
何軒か空き家をまわったうえで、すぐに入居できるところを選んだ、という声も少なくありません。
しっかりと入居者を受け入れる体制を整えておくだけで、売却チャンスが広がるということです。
また、いつ入居希望者が現れてもいいように準備しておくだけでなく、スケジュールを入居者に合わせられるようにしておくことも大切になります。
空き家バンクでよくあるトラブル事例【問題点を考察】
空き家バンクでよくあるトラブル事例について、紹介していきます。
空き家バンクが浸透しきっていない原因は何なのか、問題点も合わせて考察していきますので参考にしてください。
入居希望者が現れたにもかかわらず物件を引き渡す準備が整っていなかった
空き家バンクに登録して入居者を募集しているにもかかわらず、物件を引き渡す準備が不十分であるケースが本当に多く見受けられます。
せっかく入居希望者が現れても、引き渡す準備ができていなかったら売買取引することはできません。
どうせ売れないと思って、とりあえず空き家バンクに登録している人もいるかもしれませんが、権利の整理や境界の確定、仏壇や家財道具の片付けなど、最低限の準備は必要です。
全国の空き家バンクに登録されている物件を見ると、少しリフォームをすれば十分に買い手がつきそうな家も少なくありません。
売却できない期間が長くなれば固定資産税などの負担も大きくなりますので、入念に準備をおこなったうえで空き家バンクに登録しましょう。
境界の確定方法について詳しく知りたい人は、下記の記事も合わせてご覧ください。
境界未確定(筆界未定)の土地は売却できない?未確定のまま売るリスク
境界未確定(筆界未定)の土地を売却する方法や費用について紹介しています。売主には境界明示義務があるため、事前にどこが境界線か確認しておく必要があります。曖昧なまま売ると買主が住宅ローンの借入ができないなどのリスクがありますので注意してください。
また、空き家の固定資産税が6倍になることを知らない人は、下記の記事も合わせてご覧ください。
空き家にかかる固定資産税はいくら?6倍に増税するのはいつから?
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売却価格の設定が高すぎて誰も声をかけてくれなかった
空き家バンクに掲載する情報はすべて所有者が決めることができるため、誤った値段設定がおこなわれているケースも少なくありません。
「できれば高く売りたい」という気持ちはわかりますが、値段を高くしてしまうと、なかなか買い手は現れません。
市場相場をしっかりと把握し、適切な価格をつけましょう。
ただし田舎にある物件は参考となる事例が少ないため、市場相場を把握しにくいという側面があります。
空き家の資産価値を知りたい人は、不動産のプロにいくらで売れるか査定してもらうのがベターです。
空き家バンクよりも不動産業者に売却依頼したほうが良いケースも多い
空き家バンクに登録するよりも、不動産業者に売却依頼したほうが良いケースも多いので注意してください。
誰しもできるだけ高く売りたい、という希望を持っていると思いますので、一度話しを聞いてみてはいかがでしょうか。
本などで紹介されて利用者が急増したため知っている人も多いと思いますが、不動産一括査定サイトを利用すれば、ネット上で物件情報を入力するだけの簡単手続きで見積もりを出してもらえます。
不動産会社によっては空き家の査定に対応していないところもありますが、全国1,600社以上の不動産会社と提携しているイエウールなら、対応してくれる不動産会社が確実に見つかります。
管理人も利用しましたが、しつこい勧誘もなく、すぐに査定額を調べてもらうことができましたよ。
【利用者アンケート】イエウールを使った理由
価格を調べてから売却するかどうか決められるので、気兼ねなく利用できます。
管理人からの一言「空き家バンクは不動産業者に相談した後に利用するのがベター」
空き家を少しでも好条件で売却するために、空き家バンクを利用する前に、まずは不動産業者に相談することをおすすめします。
もしかすると「すでに査定依頼したけど断られた」という人もいるかもしれませんが、空き家に対応できる営業力を持っていなかったというだけです。
少しでも高く、そして早く売れる可能性を逃さないでください。
イエウールで一括査定したら310万も高くなった
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