「ローンが残っているけどマンションを売りたい」という人へ。
住宅ローンを完済していないのに売却できるのか、不安に感じているのではないでしょうか。
マンションを売却する人のほとんどはローン返済中ですので安心してください。
- まずはローン残債と売却代金を把握することが先決
- 買主から受け取る売却代金や預貯金で完済するのが一般的
- 売却代金だけで足りない人は住み替えローンを利用する
- 離婚などの止むを得ない事情があれば任意売却も選択肢の一つ
注意ポイントについても紹介していきますので、ミスをしないようにしっかりと確認しておきましょう。
ローンの残ったマンションを売るならローン残債と査定額をチェックしよう
住宅ローンが残っている家の売却では、ローン残高と査定額が重要になります。
中古マンションを売るためには、査定額が住宅ローン残債を上回る必要があるからです。
まずはローン残高がいくらあるのか、マンションはいくらで売れるのか、この2点を確認することから始めましょう。
それぞれの確認方法を紹介していきます。
ローン残高を確認する方法
マンションのローン残高は、借入当初に金融機関から渡された返済予定表を見るか、金融機関に問い合わせれば教えてもらうことができます。
問い合わせると引落口座番号を聞かれますので、手元に通帳を用意して電話するとスムーズです。
マンションがいくらで売れるか調べる方法
マンションがいくらで売れるかについては、不動産会社に売却物件を査定してもらいましょう。
その際、不動産一括査定サイトを経由して査定依頼すると、しつこい勧誘がないのでおすすめです。
不動産一括査定サイトとは、ネット上で物件情報を入力するだけで複数社にまとめて査定依頼できる便利ツールになります。
複数社の見積もりを集められるので、適切な査定額を把握できるというメリットもあります。
金額の大きい不動産売却では、不動産会社によって売却価格に数百万円もの差が生じることも珍しくありません。
一社の見積もりだけでは信ぴょう性に欠けますので、必ず複数社に見積もり依頼することが大切です。
住宅ローンが残っている家を売却する4つの方法
ローンの残ったマンションには、金融機関によって抵当権が設定されているため、完済しなければ売却することはできません。
では、完済するのが難しい場合、どのように売却すれば良いのでしょうか。
ローンの残ったマンションを売る方法は、以下のとおりです。
- 買主から受け取る売却代金でローンを完済して売却する
- 買主から受け取る売却代金と売主の預貯金でローンを完済して売却する
- 買い替え予定の人は住み替えローンを利用して売却する
- 任意売却する
ローン返済中にマンションを売る人がほとんどですので、不動産会社はローン残債のあるマンションの売却に慣れています。
不動産会社の指示に従っておけば、問題なく売却できますので安心してください。
ただし、どのように売るのかを事前に確認し、全体像を把握しておくことで、自信を持って売却に挑めると思います。
ローンの残ったマンションを売る4つの方法について、それぞれ詳しく解説していきますので参考にしてください。
売却代金だけでローンを完済できるのが理想
ローンが残っているマンションを売却する4つの方法の中で、買主から受け取る売却代金でローンを完済する方法がもっとも理想的です。
この方法は、買主から売却代金を受け取るのと同時にローンを完済する同時決済で手続きが進められます。
同時決済における手続きの流れ
同時決済でマンションを売る流れは、以下のとおりです。
- 金融機関から買主へ融資が実行される
- 買主から売主へ売却代金が支払われる
- 売主は買主から受け取った売却代金でローンを完済し、抵当権を抹消してもらう
- 買主に物件を引き渡す
売却代金がローン残債を下回る場合は、預貯金も返済に充ててください。
売却代金だけで足りなければ預貯金で補填して一括返済する
マンションの売却代金がローン残債を下回り、売却損がでるケースも少なくありません。
買主から受け取る売却代金だけでローンが完済できない場合は、売主の預貯金も合わせてローンを完済します。
貯蓄は減ってしまいますが、マンションを売却することはできます。
手続きの流れは上述で紹介した同時決済と同じですが、ローン残債と売却代金の差額分を引渡し当日に現金で用意しておく必要がありますので注意してください。
なぜ現金で用意するのか疑問に思われた人もいるかもしれませんが、売却代金を口座に振り込んでもらうと着金確認が取れないまま物件を引き渡すことになってしまうため、現金で受領するのが一般的です。
決済は買主が融資を受ける金融機関でおこない、売主と買主の目の前で金額を確認したのちに受領します。
マンションを引渡す流れについて詳しく知りたい人は、下記の記事も合わせてご覧ください。
マンション売却の決済日・引き渡しの流れを解説【引き渡すときの注意点】
マンション売却時の決済日・引き渡しの流れを解説しています。決済をおこなう場所や、管理費の精算、着金確認、現金で売買代金を受け取る方法についてや、鍵の引き渡しをするときの注意点も紹介しています。決済当日は高額なお金と権利が動きますので、不安感をなくしておきましょう。
新たに住宅ローンを組むなら住み替えローンが利用できる
分譲マンションを売却した後に、新たに住宅ローンを組んで家を購入する予定の人は、住み替えローンを利用して売却できるかもしれません。
住み替えローンとは、売却代金とローン残債の差額分と、新居の購入資金をまとめて借り入れることができるサービスです。
ただし新居の購入資金だけを借り入れる場合に比べて審査が厳しく、誰でも利用できるわけではありませんので注意してください。
また融資額が、抵当権に設定される新居よりも高額になるため将来、購入した家を売却することになった場合に、売却代金だけではローンを返済できないという状況に再度陥るリスクがあります。
しっかりと返済計画を立てたうえで、利用しましょう。
住み替えローンについて詳しく知りたい人は、下記の記事も合わせてご覧ください。
2軒目の住宅ローンはダブルローン(二重借り入れ)より住み替えローン
この記事では二つ目の住宅ローンをダブルローンできるのかについて紹介しています。銀行で二重借り入れしたときに住宅ローン控除は受けられるのかなど、きちんとした知識を身につけたうえで住み替えることをおすすめします。
家を売ってもローンが残るときの最終手段は任意売却
売却代金と預貯金を合わせてもローンが完済できないうえに住み替えローンを利用するのも難しい場合は、任意売却でマンションを売却するしかありません。
任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になってしまった人を救済するために作られた制度で、ローン残債があるマンションを売却する最終手段になります。
離婚や転勤など、予期せぬタイミングでマンションを売ることになった人が利用するケースもありますが、基本的にはローン返済が滞り、競売にかけられてしまった人が利用するサービスです。
任意売却にはブラックリストに載る、売却期間に限りがあるというデメリットがあるため、現在ローン返済が滞りなくおこなえているのであれば利用しないほうが良いかもしれません。
まずは、できるだけ高く売却してくれる不動産会社を探し、売却代金でローン完済することを目指しましょう。
売却理由が離婚の人は、下記の記事も合わせてご覧ください。
離婚時に住宅ローンが残っている家を任意売却する方法と注意点を解説
この記事では、離婚時に住宅ローンがオーバーローンの家を任意売却する方法と注意点について解説しています。養育費代わりに夫名義の家に住むことは賢明ではなく、財産分与は離婚前に解決するのがベターです。
住宅ローン残債があるマンションを売るときの注意点
住宅ローン残債があるマンションを売るときの注意点は、以下のとおりです。
- ダブルローン(二重ローン)はしない
- 売却費用をすべて把握しておく
- 借入先の金融機関に連絡しておく
- 不動産会社選びで妥協しない
高額なお金が動くマンション売却では、ちょっとした不注意で大きな損害を被ります。
実際に、マンション売却をした人のおおよそ半数は、もう一度やり直したいと考えていることが当サイトのアンケート調査でわかっています。
最初から売却活動をやり直せるとしたら?
やり直したい | 52% |
---|---|
どちらでもない | 26% |
必要ない | 22% |
上記で紹介した4つの注意点を一つずつ解説していきますので、ぜひ参考にしていただき、やり直す必要がないと言えるような売却活動にしてください。
ダブルローン(二重ローン)をして新居を購入するのはリスクが高い
マンションが売却できる前に、新たにローンを組んで新居を購入する人もいますが、ダブルローンはリスクが高いためおすすめできません。
売却代金でローン完済できる見込みがあったとしても、最初に設定した売出価格で売れるとは限らないからです。
ダブルローンのイメージ図
またマンションが売却できるまでは管理費や修繕積立金も支払っていかないといけないため、売却期間が長引けば大きな負担となります。
返済が困難になって購入したばかりのマンションを手放さなければならないという事態に陥らないためにも、ダブルローンは控えましょう。
売却にかかる費用を把握しておかないと計画が崩れてしまう
売出価格を決める前に、マンション売却にかかる費用をすべて把握しておきましょう。
買主から受け取る売却代金がそのまま手元に残るわけではなく、売却にかかる費用を差し引いて計画を立てる必要があるからです。
マンション売却でかかる主な費用は、以下のとおりです。
- 不動産会社に支払う仲介手数料
- リフォーム代やハウスクリーニング代
- 登記費用などの税金
査定額がローン残債を上回ったとしても、最終的には売却費用を差し引いた金額がローン残債を上回るかどうか確認しなければなりません。
売却費用については不動産会社が教えてくれると思いますが、事前に確認しておきたいという人は下記の記事も合わせてご覧ください。
マンション売却でかかる諸費用を解説!売却時に「戻ってくるお金」も把握しよう
マンション売却でかかる諸費用は?戻ってくるお金があるって本当?この記事では、マンションを売ったときの手取りを把握するために、仲介手数料の相場や司法書士費用、リフォーム費用について紹介しています。火災保険の保険料、団信の保証料は返金されます。
金融機関へ連絡しておかないとローン中のマンションを売ることはできない
ローン中のマンションを売るには、金融機関へ事前に連絡しなければなりません。
物件引渡し当日、金融機関に抵当権抹消手続きをしてもらう必要があるからです。
そもそも抵当権に設定されているマンションを勝手に売却するべきではなく、まず銀行に了承を得るのが礼儀でしょう。
中には同時決済を認めていない金融機関もありますので、注意してください。
金融機関への連絡について詳しく知りたい人は、下記の記事も合わせてご覧ください。
ローン残債のあるマンションを売却するときに銀行への連絡はいつする?
この記事では住宅ローン残債があるマンションを売るときの銀行へ連絡するタイミングについて紹介しています。抵当権抹消手続きまでの流れや一括返済する方法の決め方を知っておくことで、ローンが残っている家の売却をスムーズに進めることができます。
ローンの途中で売るときは不動産会社の選択がとても重要
ローン中のマンションを売るには、不動産会社の選択がとても重要になります。
マンション売却では、不動産会社によって売却結果が大きく異なるため、不動産会社次第で売却代金がローン残債を上回るかどうか決まる場合があるからです。
たとえばローン残債が2,000万円で、査定依頼した不動産会社から以下のような査定結果が出たとします。
A社 | 2,200万円 |
---|---|
B社 | 1,900万円 |
C社 | 2,000万円 |
A社に売却依頼すればローン完済しても200万円の余剰金が出るため、新居の頭金にすることができます。
しかしB社に売却依頼してしまうと、ローン完済できないどころか預貯金から不足分を補わなければなりません。
金額の大きいマンション売却では、実際にこのようなことが起こります。
上述しましたが、不動産会社は必ず複数社比べて、誠実さと売却力のある優秀な会社かどうか見極めましょう。
管理人からの一言「ローンの残っているマンションを売ることはできる」
ローン残債のあるマンションでも、売却することは可能です。
ただし適切に資金計画を立てないと、「売却できたけど新居に充てるお金がなくなってしまった」という事態になりかねません。
それでは、マンション売却を成功させることができたとは言えないのではないでしょうか。
マンション売却を成功させたい人は、マンション売却の全体の流れと注意点について紹介している下記の記事も合わせてご覧ください。
マンション売却の流れ|売る時の注意点や税金まで徹底解説!【3分で分かる動画つき】
マンションの売却の流れや気をつけるポイントなど簡単ステップで解説しています。初めてマンションを売るときに知っておきたい注意点や少しでも高く売るコツを、管理人の体験談も踏まえて分かりやすく解説します。
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