マンション売買は金額が大きいこともあり、売買契約当日は緊張する人がほとんどだと思います。

あらかじめ売買契約当日の流れを確認しておき、円滑に取引が進められるようイメージしておきましょう。

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この記事では、「売買契約当日の流れ」から「売買契約当日に売主・買主が準備するもの」、「売買契約を締結した後にやること」について紹介していきます。

売買契約とは

売買契約とは

不動産売買契約とは、売主の「売ります」と買主の「買います」という意思が一致したときに交わす契約のことです。

契約が成立すれば売主は物件を引き渡す義務を、買主はそれに対してお金を支払う義務を負うことになります。

売買契約を結ぶことでお互いの権利が守られ、安心・安全に取引を進められるのです。

不動産売買契約当日の流れ

売買契約当日の流れ

マンション売買契約当日、どういう流れで手続きが進んでいくのか、あらかじめ確認しておきましょう。

後から「あれ、これってどういうこと?」となっても、契約をやり直すことはできません。

「緊張していた」「よく理解できていなかった」というのは通用せず、売買契約時に締結した内容が全てなのです。

【売主と買主の顔合わせ】挨拶をおこなう

マンション売買契約当日は、当事者である売主と買主の顔合わせとなります。

マンションの内覧会で既に会っている場合は2回目になりますが、あらためて挨拶をしましょう。

内覧会では妻だけで対応したケースが多いと思いますが、売買契約当日はできれば夫婦そろって参加してください

売買契約はマンション売買において最も重要であり、後から「家族と意見が相違したので契約をなかったことにして下さい」というのは通用しないからです。

【重要事項の説明】売主と買主そろっておこなうのがベター

挨拶が終わると、さっそく売主側の不動産業者から買主へ重要事項の説明がおこなわれます。

重要事項の説明は、宅地建物取引士の資格を持った人のみおこなうことができます。宅地建物取引士は重要事項説明前に「取引士証」を提示することが義務付けられていますので、提示がなかった場合はこちらから提示をお願いしましょう。

重要事項の説明を買主側だけにおこなう不動産会社が多いのですが、認識のズレによるトラブルを減らすために、売主も一緒に説明を受けることをおすすめします

全日本不動産協会のホームページに宅地建物取引士に向けた、以下のような記載がありましたので参考にしてください。

売主に対する説明は法的な義務とはされていません。しかし売主も取引の条件を十分に理解してから取引をするかどうかを決めるべきですので、業者は、売主にも重要事項を説明しておいたほうがよいと考えられます。

売主は重要事項説明が終わったあとに集まるよう指示されるかもしれませんが、「買主と一緒に重要事項の説明を受けたい」ということを不動産会社に伝えましょう。

重要事項説明書はあらかじめ目を通しておく

重要事項説明書は専門的で複雑な内容になっているため売買契約日に一度、説明を受けただけでは完璧に理解することは困難です。

売買契約締結日前に重要事項説明書のコピーをもらうか、メールで送ってもらい、事前に目を通しておきましょう。

そのときに不明点、疑問点があれば書き出しておき、売買契約当日に質問できるようにしておくとスムーズです。

【売買契約書の読み合わせ】記載内容の確認は念入りにチェック

重要事項説明が終わると、次に売買契約書の内容について売主・買主ともに間違いがないことを確認し合います。

売買契約書を読み合わせるときにチェックすべき点は、以下の6つです。

  • 物件情報
  • 売買代金の額・受領方法・受取り時期
  • 手付金の額と性質
  • 公租公課等の精算方法
  • 瑕疵担保責任の期間
  • 付帯設備一覧表の内容と説明

売買契約当日に決済日、いわゆる物件引渡しの日を決めることになるので、売主側は物件を確実に引き渡せる日、買主側は住宅ローン審査について事前に確認しておきましょう。

売買契約書で注意する点について詳しく知りたい人は、下記の記事も合わせてご覧ください。

マンション売却時に交わす売買契約書の注意点について徹底解説

マンション売却時に交わす不動産売買契約書の注意点について解説しています。マンション売買契約書はトラブル発生時に重要な証拠となる書類ですので、内容を理解できるよう事前にチェック項目について確認しておくことが大切です。

売買契約では住宅ローン特約について取り決めるのが通例

マンション売買契約では、買主が住宅ローン審査に通らなかったときに無条件で白紙解除となる「住宅ローン特約」を付加するのが通例となっています。

売主からすれば「付けたくない」というのが本音だと思いますが、逆に付けなければ買主と主張が対立し、取引は成立しなくなるでしょう。

住宅ローン特約について詳しく紹介している下記の記事をご覧いただくことで、当日スムーズに手続きを進めることができます。

ローン特約による売買契約の解除が認められるケース・認められないケース

ローン特約による売買契約の解除に注意しなければなりません。契約時に融資金額や期間、解除条件について詳細に取り決め、契約書に文言を残しておくことで、トラブルを避けることができます。

【売買契約書に署名・捺印する】収入印紙の貼付を忘れずに

売買契約書の内容に双方が納得すれば、署名・捺印して正式に契約を結びます。

このとき、収入印紙の貼付を忘れてはいけません。

売買契約書は課税文書にあたりますので、印紙税の支払いが法律で義務付けられているのです。

収入印紙の貼付を怠ってしまうと、罰金等のペナルティを受けることになりますので注意しましょう。

【手付金の受領】買主から売主へ手付金を支払う

マンション売買契約が無事に成立したら、買主から売主へ手付金が支払われます。

手付金の額は売買代金の10%が相場となっており、現金か小切手で取り交わすのが一般的です。

手付金は契約成立の証拠となる金銭ですが、解約手付としての意味合いも持ちます。

解約手付とは、双方どちらかが契約を解除したいと思ったときに、買主は手付放棄、売主は手付倍返しで契約を解除できると定めることです。

契約解除はあまり起きてほしくありませんが、万が一そうなったときにトラブルにならないようルールを定めておくことは重要です。

手付金について詳しく知りたい場合は、下記の記事も合わせてご覧ください。

マンション売却時の手付金の相場と上限についてわかりやすく解説!

マンション売却時の手付金の相場と上限について解説しています。手付金はわかりやすくいうと売買代金の頭金のことで、返金の可能性がありますので使わずに取っておくのがベターです。解約時に用いられる重要な金銭ですので、トラブル回避のためにルールを確認しておきましょう。

【不動産業者に仲介手数料を支払う】仲介手数料の半金を用意しておく

不動産業者へ支払う仲介手数料は、売買契約日と決済日に分けて支払うことになっています。

そのため売買契約が無事に締結されたら、不動産業者へ仲介手数料の半金を支払います

マンション売買でかかる仲介手数料は「売買代金×3%+6万円+税」ですので、売買契約日にはその半分、「売買代金×1.5%+3万円+税」が必要になるということです。

買主は手付金とは別途、不動産業者へ支払う仲介手数料も用意しておいてください。

売主は、買主から受け取った手付金から支払えるので、特別に用意しておかなくて良いことがほとんどです。

売買契約当日に売主・買主が準備するもの

売買契約当日に準備するもの

売買契約当日に売主と買主それぞれが用意するものは、以下の通りです。

売主が売買契約当日に用意するもの

  • 免許証やパスポートなどの本人確認書類
  • 権利証または登記識別情報
  • 印鑑証明書と実印
  • 仲介手数料の半金(現金)
  • マンションの管理規約
  • 設備の状態を記入した付帯設備表
  • 売買代金に応じた収入印紙または印紙代

買主が売買契約当日に用意するもの

  • 免許証やパスポートなどの本人確認書類
  • 印鑑(実印が望ましい)
  • 手付金(現金)
  • 売買代金に応じた収入印紙または印紙代
  • 仲介手数料の半金(現金)

売買契約当日に用意するものについてさらに詳しく知りたい人は、下記の記事も合わせてご覧ください。

マンションの売買契約時と決済時に必要な書類一覧【売主・買主まとめ】

この記事では、不動産売買契約時と決済時の必要書類を紹介しています。売主と買主、双方しっかりと書類を揃えておかないと中古マンションの売却・購入は円滑に進みませんので、あらかじめ確認しておきましょう。

不動産売買契約を締結した後に売主・買主がやること

売買契約締結後にやること

不動産売買契約を締結したら、売主も買主も契約遂行に向けて準備しなければなりません。

売主が売買契約締結後にやるべきこと

売主が売買契約締結後にするべきことは、以下のとおりです。

  • 住宅ローンを借りている銀行に連絡する
  • マンションの管理組合に連絡する
  • 決済日までに引っ越しておく
  • マンションを引き渡す準備
住宅ローンを借りている銀行に連絡する

住宅ローンを借りている銀行に連絡し、抵当権抹消登記の準備を依頼しましょう。

銀行が抵当権抹消登記に必要な書類を作成するのには2週間ほどかかりますので、決済日が決まったらすぐに連絡します。

金利を計算するために決済日が重要になりますので、日程を誤って伝えないよう銀行に連絡する前にしっかりと日程確認しておいてください。

間違った日にちを伝えてしまった場合や決済日が変更になった場合は、書類を作り直さなければならないため、あらためて連絡する必要があります。

決済日を変更するときは書類の作成に2週間かかるという点に注意し、売買契約当日になって抵当権抹消登記ができないという事態にならないよう気をつけてください。
マンションの管理組合に連絡する

所有権移転登記をしたあと速やかに組合員の資格喪失手続きがおこなえるよう、決済前に管理組合へ連絡し、提出書類や手続き方法について確認しておきましょう。

決済が終わったらすぐに管理会社に提出できるよう準備しておくことで、手続きがスムーズに進みます。

マンションの引渡しが終わってから、わざわざ管理組合の脱退手続きのためにマンションに訪れることにならないよう、事前に準備を進めておくことをおすすめします。

決済日までに引っ越しておく

決済日にマンションを引き渡せるように、引越しをおこないます。

買主と残しておくと取り決めた家具・家電以外、すべて片付けてきれいにしておきましょう。

荷物の整理や不要な家具・家電の処分など、引越しは予想以上に時間がかかりますので、はやめに取り掛かるのが賢明です。

実際に荷物を運んで引越すのは、買主のローン審査が無事に通ってからのほうが良いかもしれません。

買主がローン審査に通らなかった場合、ローン特約によって売買契約が白紙解除になってしまい、売主はまた一から売却活動をする必要があります。

マンションを引き渡す準備

買主にマンションの鍵を渡すことによって物件の引渡しとなりますので、鍵を完全な状態にしておく必要があります。

スペアキーや倉庫の鍵など、すべて揃っているか確認しておきましょう。

もしも紛失している鍵があれば、マンションの錠ごと交換しなければなりません。

買主によっては「どうせ交換するからそのままでも良い」と言ってくれる可能性もありますが、決済前に確認するためには、揃っているかあらかじめ確認しておくことが必須です。

くれぐれも、決済当日に鍵の紛失が発覚することのないようにしてください。

買主が売買契約締結後にやるべきこと

買主が売買契約締結後にすることは、融資を受ける銀行へ正式に住宅ローンの申込みをすることです。

正式に住宅ローンを申し込む

買主は売買契約締結後、融資を受ける銀行へ正式に住宅ローンの申し込みをおこないます。

仮審査に通っていても、最終審査で融資が下りない可能性もありますので気を抜いてはいけません。

ローン特約による解除が認められている期間内に融資が受けられるかどうかの結果が出ないと、融資が受けられなかった場合に白紙解除できなくなってしまいます。

手付金放棄による契約解除になって損をしないよう、融資の申し込みは早めおこないましょう。

引っ越すときにやらなくてはいけない各種手続き

売主も買主も新居に移るときには、移転手続きをする必要があります。

引越し前にすること、引越してからすること、それぞれ確認しておきましょう。

主な手続き 引越し前にすること 引越してからすること
住民票の移動届 転出日の前に役所へ転出届けを出して転出証明書をもらう。 転居後14日以内に新住所を所轄する役所に転出証明書を提出する。
印鑑登録の変更 転出届けを出すと印鑑登録は自動的に消去される。印鑑登録証は返却する。印鑑証明をもらっておくと再登録するときに保証人が不要になる。 新住所を所轄する役所で再登録する。
転校届け 学校から在学証明書と教科書受給証明書をもらう。 前の学校で発行してもらった書類と新しい住民票を持って役所の教育課の窓口にいき、就学通知書を発行してもらう。これを転校先に提出する。
電話の移転 電話会社に新旧の住所、氏名、引越し日、移設希望日を申し出る。 工事の内容にもよるが移設工事費として1万2000円程度が必要。
郵便の転送届 郵便局にある所定のはがきに転居先を書いてポストに投函すると、1年間は無料で転送してもらえる。 転入時の届け出は基本的に不要。
電気・ガス・水道の移転 管轄の局や営業所に連絡して転出当日にメーターの封印をしてもらう。 転入先の局や営業所に連絡して、転入当日に使用できるようにしてもらう。
オートバイ・自動車の移転 転出時の届け出は不要。 15日以内に新住所所轄の車検場へ車ごと持ち込んで新しいプレートの交付を受ける。
運転免許証の住所変更 転出時の届け出は不要。 新住所管轄の警察署に移転の旨を伝える。

「契約決済」という方法もある

売買契約と決済を同日におこなう契約決済(一括決済)という方法で、不動産を売買することもできます。

通常、売買契約と決済は別日におこなうのですが、契約決済は同日に売買契約から物件の引渡しまで一気に終わらせられます。

スピーディに売買取引が終わるというメリットがありますが、どちらか一方の都合によってキャンセルされたとしても、違約金をとれないというデメリットがあるので注意してください。

契約決済はキャンセルによるペナルティがないので、決済の準備をしていたにもかかわらず中止になってしまうリスクが高いです。

売買契約当日のQ&A

中古住宅の売買契約から引渡しまでの期間はどれくらい?
売買契約から引渡しまでの期間は、1〜2ヶ月が平均です。

売買契約から引渡しまでがあまりにも近いと、買主の融資の許可が下りないなどの問題が発生する可能性があります。

逆にあまりにも期間が空いてしまうと、契約解除のリスクが高くなるのでおすすめしません。

売買契約をおこなう場所はどこ?
売買契約を結ぶ場所は、基本的にどこでも大丈夫です。

喫茶店や売買するマンションなど、売主と買主で自由に決めることができます。

一般的なケースでは、売主側の不動産会社の事務所でおこなうことがほとんどです。

売買契約当日はどんな服装をしていくべき?
売買契約当日の服装は、普段着で問題ありません。

ただし契約締結にふさわしくない、ラフすぎる格好は避けたほうが良いでしょう。

男性は襟付きのシャツに長ズボン、女性は綺麗めなワンピースなど、フォーマルな格好が無難です。

売買契約当日はどのくらい時間がかかる?
売買契約の手続きにかかる時間は、約2時間です。

そのときの状況によっても異なりますが、重要事項の説明に30分〜1時間ほど、全体で2時間が目安になります。

長引く可能性もありますので、売買契約当日は余裕を持ったスケジュールを組んでおくことをおすすめします。

売買契約締結後に地震や火災によって物件が破損してしまった場合、どうなる?
売買契約締結後に地震や火災によって物件が破損してしまった場合にどちらが責任を負うのかという問題を危険負担といい、売買契約後の危険負担は売主が負うのが一般的です。

売主は決済日までに破損箇所を修復しておく必要があり、その費用はすべて売主が負担しなければなりません。

ただし破損状態がひどかったり、多額の費用がかかるという理由から修復が難しい場合は、ペナルティなしで契約解除できるルールとなっています。

危険負担のルールについて詳しく知っておきたい人は、下記の記事も合わせてご覧ください。

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管理人からの一言「売買契約が成立すれば、後戻りはできない」

マンション売買契約が成立すれば、よほどのことがない限り後戻りできないと心得ましょう。

売買契約締結時におこなうこと、取り決めることは全てが重要で、なに一つおろそかにできるものはありません。

事前に売買契約当日の流れを把握しておき、悔いを残さないようにしてください。

万が一契約をキャンセルしたい場合は、売買契約締結前であればペナルティなしで中止できます。

売買契約を締結してしまえば簡単にはキャンセルできなくなりますので、下記の記事も合わせてご覧いただき、早めに決断することをおすすめします。

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