- 相続した不動産が空き家のままになっている
- 実家が空き家になりそう
このような人は、空き家対策特別措置法が施工されたことによって、どんな影響があるのか気になるのではないでしょうか。
深刻化する空き家問題を解決するために国が動き出したのですから、空き家所有者に何らかの影響があるのは確かです。
とはいえ、「具体的にどんな影響があるの?」「空き家所有者は何をすればいいの?」など、疑問や不安を抱く人も多いと思います。
この記事では、「そもそも空き家対策特別措置法とは」から「空き家対策特別措置法によってどんな影響があるのか」について紹介していきます。
空き家対策特別措置法をわかりやすく解説
空き家対策特別措置法とは、深刻化する空き家問題を解消するために作られた法律で、策定されたことによって各自治体が空き家対策に深く踏み込めるようになりました。
倒壊寸前の空き家は「特定空き家」に指定され、きちんと管理するよう国から助言・指導、勧告、命令がおこなわれる対象となります。
もしも国からの命令を無視した場合、最終的に空き家は取り壊され、解体にかかった費用は所有者に請求されます。
これを「行政代執行」といい、かかった費用を支払わないと所有者の預貯金や不動産は差し押さえられてしまいますので注意してください。
平成27年の施工日から徐々に各自治体で空き家条例が制定されている
平成27年2月26日に空き家対策特別措置法が施工されて以降、全国の自治体で空き家条例の制定が進んでいます。
空き家をどうにかしたいと思っていても、解体にかかる費用負担などによってできないという人も少なくありません。
そのような人を救済するために、各自治体は以下の取り組みをおこなっています。
引用元: 空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況 調査概要-国土交通省
上記のグラフから、空き家バンクや相談窓口の開設に積極的な自治体が多いのがわかります。
空き家条例の策定状況については、以下のとおりです。
空き家等対策計画の策定状況(平成29年3月31日時点)
市区町村数 比率 既に策定済み(公表済み) 357 21% 策定予定あり 1,116 64% 時期未定 508 29% 策定予定なし 268 15%
対象の自治体がどんな空き家条例を制定しているか知りたい人は、それぞれ各自治体のホームページをチェックしてみてください。
ガイドライン策定によってどんな効果がある?
空き家対策特別措置法の策定は、これ以上空き家が増えるのを食い止め、以下のような社会問題に発展しないようにする効果が見込まれています。
- 空き家が増え続けることで引き起こる社会問題
-
- 住宅の需要バランスの悪化
- 行政サービスの低下
- 治安の悪化
空き家が増える一方で新築も増え続けており、このままいくと住宅の需要バランスは悪化していきます。
また空き家が増えるとその地域の住民が減るため、税収入を得られなくなった自治体は行政サービスの一部を廃止したり、有料化したりしなければならなくなります。
そして行政サービスが低下したことによって、さらに他の地域へ移住する人が増えるという悪循環になってしまうのです。
空き家率が増加すれば、当然ながら治安の悪化も懸念されますので、空き家問題を放置することは、日本全体の質を落とすことにつながります。
このような問題を食い止め、日本をより住みやすい国にするためにできたのが、空き家対策特別措置法ということです。
特定空き家に指定されると固定資産税が6倍に上がる
空き家所有者が、空き家対策特別措置法が制定されたことによって最も気をつけなければならないのが、固定資産税の増税です。
特定空き家に指定されてしまうと固定資産税は通常の6倍、都市計画税は3倍にまで跳ね上がります。
なぜこんなに増税するのかというと、特定空き家は土地の評価額を6分の1にできる軽減措置の適用が受けられなくなるからです。
今までは「更地にすると固定資産税が上がるから、空き家のままにしておいたほうが税金が安い」とよく言われていましたが、これからは建物が建っていても増税のおそれがあります。
特定空き家に指定されてしまう前に、何か対策をおこなってください。
特定空き家に指定されてしまった場合の固定資産税については、下記の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
空き家にかかる固定資産税はいくら?6倍に増税するのはいつから?
空き家の固定資産税が6倍に上がるのはいつからなのか、いくら高くなるのかについて解説しています。法改正によって特定空き家になると更地と同様、税金が高くなりますが、払わないとペナルティがありますので注意してください。気になる増税対策についても紹介しています。
空き家対策特別措置法の策定で所有者は補助金や助成金がもらえるようになった
空き家所有者にとって空き家対策特別措置法は、増税の対象になるというデメリットだけでなく、補助金や助成金をもらえるようになったというメリットもあります。
助成金制度の概要は自治体によって異なりますが、主な取り組みは以下のとおりです。
- 空き家の解体工事や撤去処分にかかる費用の一部を負担
- 空き家の改修にかかるリフォーム費用の一部を負担
- 耐震補強にかかる費用負担さらには税金の控除や減額措置
これまで「解体したくても費用負担が大きくてできない」という人や、「売りたくてもリフォーム代が捻出できないため見た目が悪く、買い手がつかない」という人も多かったと思います。
補助金や助成金を上手に活用し、空き家問題を解決させましょう。
インターネットで「〇〇(地域名) 空き家 助成金」と調べれば、対象の自治体がどんな助成金制度を用意しているか確認できます。
空き家対策特別措置法によって空き家バンクが開設された
自治体は空き家バンクというシステムをつくって、空き家を売りたいという人と買いたいという人をマッチングして空き家の売買取引がスムーズにいくための支援をおこなっています。
空き家バンクの仕組み
上述でも紹介しましたが、自治体の取り組みのなかで空き家バンクを開設する自治体が最も多くなっています。
「売却したいけど不動産会社に断られた」「買い手が見つからない」という人は、自治体が運営する空き家バンクに登録することで状況が変わるかもしれません。
市区町村のホームページで開設しているかどうか確認し、担当部署にいって話を聞いてみると良いでしょう。
空き家バンクについて詳しく知りたい人は、下記の記事も合わせてご覧ください。
空き家バンクとは?メリット・デメリットとこれまでの成功例を紹介!
空き家バンクとはどんな制度なのかや、メリット・デメリットについて紹介しています。これまでの成功例やトラブル事例を踏まえたうえでの問題点や課題についても解説していますので参考にしてください。
所有者不明の不動産は略式代執行される
空き家対策特別措置法の策定によって、所有者不明の空き家は略式代執行される可能性があります。
略式代執行とは、所有者がわからない不動産を代執行によって取り壊すことをいいます。
放置している不動産がある場合、登記簿の確認をしておかないと略式代執行の対象になってしまうかもしれませんので注意してください。
特に、所有者が亡くなって世代交代が進んだにもかかわらず相続登記(所有者変更の手続き)をしていない不動産は、所有者不明として処理される場合があります。
せっかく先祖から引き継いだ不動産を、略式代執行によって失うことがないようにしましょう。
空家等対策の推進に関する特別措置法の問題点
空家等対策の推進に関する特別措置法は、策定から日が浅いため、まだまだ問題点が残ります。
空き家対策特別措置法の問題点は、以下のとおりです。
- すべての自治体が空き家対策を制定できているわけではない
- 自治体の対応が追いついていないケースがある
すべての自治体が対応できているわけではない
空き家対策特別措置法の策定を受けて、各自治体はさまざまな取り組みをおこなっていますが、経済力などによって対応に差が生じているという問題点があります。
対象となる自治体が空き家対策に消極的であった場合、所有者は何の恩恵も受けられず、税負担だけが重くなる可能性があるということです。
空き家所有者からしてみれば、他の地域なら受けられたかもしれない助成金制度がないことに、不満を抱くのではないでしょうか。
しかし助成金制度が整っていない一部の地域にのみ、国から支援してしまえば、他の地域に対して公平ではありません。
自治体は全国に1,700以上あり、すべての地域に支援をしようと思うと莫大な資金が必要になりますので、各自治体の差を埋めるのは難しいでしょう。
自治体の対応が追いつけなくなる可能性がある
今後、助成金制度や空き家バンクを利用したいという人が増えた場合、自治体がそれに対応できる余裕がないという課題があります。
すべての自治体で、空き家対策にしっかりと対応できる体制を作っていく必要があるでしょう。
管理人からの一言「空き家所有者は何らかの対策が必要になる」
空き家対策特別措置法によって、空き家所有者は何らかの対策が必要になります。
対処法としては売却や賃貸が主流ですが、賃貸にするためには初期投資にお金がかかりますし、ずっと管理していかなければならない煩わしさもあります。
親族間で誰も使わないのであれば、売却してきれいさっぱり清算するのがベターでしょう。
空き家の売却について詳しく知りたい人は、下記の記事も合わせてご覧ください。
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